手倉森コーチ 逆風JAPANに“闘魂注入”「メンタル植え付ける作業は大事」
サッカーのW杯ロシア大会を控える日本代表の手倉森誠コーチ(50)が12日までに合同インタビューに応じた。16年リオデジャネイロ五輪終了後、代表コーチに再任され、ハリルホジッチ前監督の下、W杯出場権獲得に尽力した。4月にハリルホジッチ氏が更迭された際には「自分も解任され、一度終わったという思いだった」と心境を明かした。西野監督就任後もチームに残留。本大会を直前に控え、厳しい逆風にさらされる日本代表への率直な思いを語った。
◇ ◇
-W杯への心境は
「W杯出場に対する仕事に絡めたこと、自分自身もW杯を経験できることは、自分にとっても大きなこと。ブラジルW杯の敗戦で日本サッカーに対して、ものすごく危機感を抱いた。日本代表のW杯の成績が、日本サッカー界に関わる全ての人に影響する。国を背負って戦う、仲間の思いをくんで戦うということを示さないといけない」
-ハリルホジッチ氏が解任された。
「自分もハリルホジッチと同様に解任されたような思い。自分も一度終わったというふうに思って、気持ちを整理してみようという気になった。監督と選手の間に立って、作業をしてきた中で、監督に対して言い過ぎたこと、選手に対しても言い過ぎたことがあった。西野さんから『テグ、頼むな』と言われた時に、つなげる役目としてもう1回絡んでいこうという気になった。自分の指導歴は苦境がつきもの。ここを乗り切れば自分の成長にもつながる」
-ハリルホジッチ氏の3年間を無駄にしない思いか。
「これからに対して、これまでが意味あることだったとつなげていかないと成功は絶対にない。本当に難しい状況だが『難しい』ばかり言っていると、顔がしかめっ面になって楽しくなくなる。選手たちには、厳しい状況に身を置いた時、それ以上のものが返ってくると信じてやるしかないと伝えたい。厳しい目が注がれているが、受け入れて立ち向かうたくましさが必要になる」
-時間がない中で自身の役割は。
「監督代わった中でも積み重ねがあって、いいものに対して目を向け、やってきたことは無意味ではないという姿勢で選手と絡みたい。技術、戦術を伝えるだけではなく、そこにはやはり人のメンタルが動く。チームとして絡み合う感情にも目を届かせたい。監督がやっている部分に対して選手がどう理解しているか。足りなければ言葉を足していく必要がある。その作業は(ハリル体制から)変わらない。日本代表は選手が集まって初めて日本代表になる。そういった魂をスタッフ全員で入れられるかどうか。戦術などと同等ぐらい、メンタリティーを植え付ける作業は大事になる」
-チームは変わったか。
「選手とのコミュニケーションのトーンは絶対に変わる。西野さんは普段の生活の中ではストレスをかけたくないという意識がものすごくある。ただ、規律は規律で、西野さんが緩めてあげているのに甘えている選手は注意していかないといけない。そういうところは目を光らせたい。日本代表というチームの中での信頼感を、一人ひとりが築き上げる必要がある。そうすれば、選手同士が託す側と託される側になった時、託された側のパワーというのは間違いなくポジティブなものになる」