香川&乾の元C大阪黄金コンビ 抜群の連係で初戦コロンビアをキリキリ舞いだ
「国際親善試合、日本4-2パラグアイ」(12日、インスブルック)
日本は4-2で勝ち、W杯ロシア大会前最後の強化試合を白星で飾った。前半に先制点を与えたが、後半6分、18分のMF乾貴士(30)=ベティス=の2得点で逆転。3-2の試合終了間際にはMF香川真司(29)=ドルトムント=のゴールで突き放した。C大阪時代にともにプレーした2人は息の合ったプレーを披露。本番での活躍に大きな期待を抱かせた。大会は14日開幕し、モスクワのルジニキ競技場で1次リーグA組初戦のロシア-サウジアラビアが行われる。
体が覚えていた。1点を追う後半6分、乾が待望の西野ジャパン初得点となる同点弾を決めた。香川からパスを受け、左サイド寄りから中央へ切れ込み、右足で柔らかく巻いてゴールネットを揺らしたシュートは、滋賀・野洲高時代から何度も繰り返した形だった。
乾の高校時代の同級生で現在は同校サッカー部コーチを務める長谷川敬亮氏(29)は「高校時代からひたすら練習していた角度とコース。完璧でした」と懐かしそうに喜びを語った。近江富士を臨むグラウンド。乾は一つしかなかった薄暗い照明の下、カラーコーンの間を縫って日が暮れても右足を振った。学校からは帰宅を促され、近隣からも苦情が来たといい「よく怒られてました」と苦笑いしたが、「誰が見ても一番練習していた」(長谷川氏)というたゆまぬ努力が実を結んだ。
後半18分にも香川との連係からゴールが生まれた。乾が「セレッソでずっとやってた選手なので真司とはすごくやりやすい」と話せば、香川も「長年やってた分、どういうプレースタイルか知っている」と声をそろえた。
2人は08年夏から2年間、C大阪でともにプレーした。特に09年はJ2で香川が27得点(得点王)、乾が20得点と2人でチーム総得点(100得点)の半数近くをたたき出し、息の合った流麗なコンビネーションは、人気漫画「キャプテン翼」の「翼くんと岬くん」に例えられた。
W杯本番前最後の一戦を終えた。西野体制は時間との戦いも課せられており、香川が「一つチームの武器になると証明できた」と話した通り、2人のユニットはコロンビア戦に向けた攻撃面の連係構築において、一つの解決策を示したと言える。
「あの2人はいつもイメージが合っている。本当にすげーなと思った」。昌子がそう明かしたように、周囲もホットラインの効果を認めている。本田がトップ下に入るよりも明らかに連係は円滑で、トップ下争いも指揮官の心中で結論が出たかもしれない。迫り来る運命の一戦を“黄金コンビ”に託すことは、現実的な選択肢となった。