ロシア奇跡…V候補無敵艦隊の猛攻耐えた 守護神アキンフェーフがPK2本止めた
「ロシアW杯・1回戦、スペイン1(3PK4)1ロシア」(1日、モスクワ)
1回戦の2試合が行われ、開催国のロシアがPK戦の末に2010年大会覇者のスペインを破ってソ連時代の1970年以来、48年ぶりに8強入りした。7日の準々決勝で、デンマークとのPK戦を制したクロアチアと対戦する。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング70位のロシアは同10位のスペインに対し1-1のまま延長でも譲らず、迎えたPK戦を4-3でものにした。同20位のクロアチアは同12位のデンマークと1-1で延長まで終え、PK戦に3-2で勝った。3位となった98年以来のベスト8。
誇らしげに振られるロシア国旗、鳴りやまない歌声。7万8千人以上で満員に膨らんだルジニキ競技場が、地元ロシアの劇的なベスト8進出に揺れた。優勝候補のスペインをPK戦の末に撃破。立役者は32歳の守護神、アキンフェーフだ。
1-1で突入したPK戦。スペイン3人目のコケが左を狙ったキックを横っ跳びで防ぎ、先に相手に大きな重圧をかけた。5人目のアスパスが中央を狙ったキックは、右に跳びながら残った左足で瞬時に反応し、はじき出した。2本のPKを止め、地鳴りのような歓声を浴びた守護神は、試合の最優秀選手に選ばれると「ファンとチームこそMVPだ」と大観衆と一体となっての強豪撃破を喜んだ。
延長を含めて120分間、相手の猛攻に耐えた。守備的な戦いに徹し、「これ以外の戦術だったら成功はなかっただろう」とチェルチェソフ監督。アキンフェーフは後半にはイニエスタの低い弾道のシュートを阻み、延長後半にもロドリゴの鋭い一撃をブロックした。浴びたシュートは25本。「スペインを倒すのは難しい。PK戦になれば、と思っていた」と勝ち越しゴールを阻止し続けた。
ロシアの強豪CSKAモスクワでは欧州チャンピオンズリーグ(CL)など国際舞台の経験も豊富な32歳のベテランGK。サポーターの歓喜の歌声がいつまでも響くモスクワの夜空の下で「もう何も残っていない」と激闘の余韻に心地よさそうに浸った。
ソ連時代の1970年大会以来となる8強入り。低迷期の長かったロシアにとって、開幕前の期待を上回る快進撃といっていい。それでも試合後に胸の内を問われた指揮官は、「簡単なことだ。次の試合のことを考えている」。ベスト8で満足などしていない。