西野ジャパンのW杯を振り返る 半端ない大迫、物議のパス回し、悔しいベルギー戦
西野朗監督が率いたサッカー日本代表の挑戦が終わった。4月にバヒド・ハリルホジッチ前監督が解任され、急遽就任した中では一定の成績を残した中で、世界を驚かす金星もあれば、物議を醸す采配もあった。世界にも強い印象を与えた4試合を振り返る。
【1次リーグ初戦○2-1コロンビア】(6月19日、サランスク)
注目された本田の起用法はスーパーサブ。攻撃的な中盤は左から乾-香川-原口というラインで形成された。トップ下に入った香川が試合開始早々に自ら放ったシュートでC・サンチェスのエリア内でのハンドを誘い、PKを奪った上に相手は一発退場というこの上ないアドバンテージを得た。
重圧のかかるPKを香川が決めて先制した日本だったが、同39分にキンテロに直接FKを決められてしまう。日本の壁が当初の打ち合わせとは違いジャンプし、その下を抜くシュートを通されてしまうという事態に、GK川島は反応しきれず、ゴールラインを割ってからボールに触った。このことで川島を批判する向きもあったが、壁とGKとの約束ごとにずれがあるとGKとしては反応するのは難しくなる。
そして後半28分に途中出場の本田が蹴ったCKに大迫が頭で合わせて勝ち越しに成功。以前から普及していた言葉「大迫、半端ないって」が爆発的なブームとなった。このまま試合終了となり、日本は初めてW杯で南米のチームに勝つ快挙となったが、終始11人対10人という数的優位があった上でのこと、という点も忘れてはいけない。
【1次リーグ第2戦△2-2セネガル】(6月24日、エカテリンブルク)
初戦と同じ先発メンバーで臨んだ日本は、予想外の形で先制点を献上した。前半11分、日本の右サイドから蹴り込まれたシュートに対し、GK川島はパンチングを選択。ボールは詰めていたマネの方に飛び、そのまま押し込まれてしまった。本人も「ミス」と認めるプレーで、試合後、川島への風当たりが強くなった。
日本は先制されても諦めず前半34分、柴崎のロングパスを左サイドの長友がギリギリのところでトラップ。乾が拾って右足で流し込んだ。後半26分にはワゲのゴールで勝ち越されたが、同33分には途中出場の本田が、左サイドの乾が入れたボールを押し込んで追いついた。同じく途中出場の岡崎がGKの前で潰れ役になっていたことも見逃せなかった。
【1次リーグ第3戦●0-1ポーランド】(6月28日、ボルゴグラード)
西野監督は先発6人を変更した。この選択は機能せず、攻撃は停滞した。GK川島が相手のヘディングを寸前でかき出すファインセーブを見せたが、後半2分には岡崎が負傷で大迫と交代するアクシデントもあった。
後半14分にベドナレクに先制ゴールを許すと、同20分に宇佐美に代えて乾を投入。それでも攻め手を欠いた日本は、別会場でコロンビアがセネガルをリードしたという情報を元にギャンブルに出た。西野監督は長谷部に攻撃せず、警告ももらわないようにプレーしろと指示を出し、武藤に代えて投入。長谷部は的確にその指示をイレブンに伝え、0-1のまま試合を終えた。
賭けた通りにコロンビアが勝利し、日本はフェアプレーポイント差で16強進出が決定。しかし、同点にすれば自力で決勝トーナメントに進める状況での決断は物議を醸した。こういう状況にチームを追い込んだことには、先発メンバーの選択も含めて采配に疑問が残る。
【決勝トーナメント1回戦●2-3ベルギー】(7月2日、ロストフナドヌー)
1戦目、2戦目と同じ11人で臨んだ。前半はベルギーの猛攻をしのぎ、後半3分に柴崎のスルーパスを受けた原口が先制点を奪取。直後の同7分には乾が無回転ミドルを突き刺し2点のリードを奪った。
しかし、ベルギーは同24分にフェルトンゲンが放った山なりのヘディングが日本ゴールに吸い込まれるラッキーなゴールで勢いを取り戻す。直後の29分にはE・アザールのクロスに途中出場のフェライニが頭で合わせて同点にされてしまう。
3点目を狙いにいった日本だったが、試合終了間際に途中出場の本田が放った無回転FKは名手クルトワがセーブ。さらにその後、本田のCKをクルトワにキャッチされると、すぐさまカウンターを発動されシャドリにねじ込まれた。
試合後、本田は今大会が「最後のW杯」と明言。西野監督は「選手に非はなくベンチワーク、私のところ」と自身の責任だと振り返った。