不屈のキャプテン・長谷部 代表引退「大会前から決めていた」

 サッカーのW杯ロシア大会で日本代表の主将を務めたMF長谷部誠(34)=Eフランクフルト=が、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦に2-3で敗れて一夜明けた3日、代表からの引退を表明した。ベースキャンプ地のカザンで取材に応じ、「本当に感謝しかない。素晴らしい時間だった」と振り返った。日本代表は4日、カザンからモスクワ経由の航空機で帰国の途に就く。5日に日本に到着する予定。

 主将が青のユニホームを脱ぐ。日本代表からの引退を表明した長谷部は「大会前から自分の中では決めていた。何か一つの要素で決めたわけではなく、さまざまな要素があった中で、覚悟をもって決断した」と、秘めていた決意を明かした。

 34歳。「半年、1年、もし代表に選んでいただけたら、やれるという感覚も正直ある」という。だが「相対的に考えた時、区切りではある」と、潔く身を引くことを決めた。

 10年南アフリカ大会でゲームキャプテン(主将はGK川口)に指名された。それから8年間、長谷部の左腕にはいつもキャプテンマークが巻かれていた。「最初は右も左も分からず、がむしゃらにやっていただけだった」というが、時間の経過とともに重責がのしかかっていった。「年々苦しさは増していった。自分勝手にですけど、背中に荷物をどんどん背負っていったという感覚もあった」と、見せざる苦悩を語った。

 それ以上に「誇りの方が大きかった」。主将として日本歴代最多81試合を戦った。歴代5位の国際Aマッチ114試合に出場し、3大会連続でW杯に名を連ねた。W杯通算出場11試合はGK川島、DF長友と並び日本歴代最多。「今はやり切ったという感覚」と、すがすがしく振り返った。

 後継者については「誰がやってもチームとしてはまとまる」と繰り返し、あえて指名しなかった。日本代表は大黒柱を失うが「これからの世代の選手に期待したい」と、未来を託した。代表デビューから12年半。「素晴らしい時間だった」と、感謝とともに代表を去った。

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