大迫落選が示す「狙い」とは 「時間を作る」より「時間をかけない」攻撃を優先
日本サッカー協会は1日、東京都内で記者会見を開き、W杯カタール大会(20日開幕)に臨む日本代表メンバー26人を発表。前回大会で活躍した大迫勇也(32)=神戸=の〝サプライズ落選〟を受けて、デイリースポーツのサッカー担当記者が森保一監督(54)の狙いを分析した。
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驚きをもって迎えられた大迫の落選。理由を問われた森保監督から核心を突く説明はなかったが、「今の選手のコンディション、W杯の戦いという先を想像した。いろんなシミュレーションをした時、優先順位としてこのメンバーになった」との言葉も聞かれた。
「今のコンディション」を重視するなら、右膝の負傷から実戦復帰に至っていない浅野より大迫の選出が理にかなうが、そうしなかった。1トップの本命と目されていた大迫の代役を上田に託すのか。ベルギーで好調とはいえ、現実的ではない。総合力に優れた上田だが、オプションの一つと考えるのが自然だ。
「W杯の戦いを想像し、シミュレーションした」という森保監督にとって、大迫を起点に前線でボールを収めて味方に「時間を作り出す」方法より、浅野や前田の快足で一気にゴールへ迫る「時間をかけない」攻撃が「優先順位」として上回ったとみられる。
9月のドイツ遠征で勝利した米国戦も想起される。前田のようなスプリントに特化した1トップ起用で、相手に「時間を与えない」守備も期待できる。
最前線の“サプライズ”によって、W杯における戦術の輪郭が鮮明に形を帯びてきた。(デイリースポーツ・サッカー担当 山本直弘)