鎌田大地 日本人の価値高める ドイツ撃破で世界の評価覆す「いいチームに勝つ」
サッカーのW杯カタール大会に臨む日本代表は20日、ドイツとの1次リーグE組初戦に向けて、ドーハ市内の拠点で冒頭を除く非公開で調整した。ドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(36)=バイエルン・ミュンヘン=から警戒する選手として名指しされたMF鎌田大地(26)=アイントラハト・フランクフルト=は「そうなんだくらいな感じ」と意に介さず。「日本人の価値を高めたい」と、世界の評価を覆す戦いに挑む。
世界の注目を浴びる祭典を控えても、鎌田の泰然自若とした語り口は変わらない。19日にはドイツGKノイアーが、警戒する選手として鎌田の名前を挙げて「素晴らしいプレーヤーで万能性があって技術的にも恵まれている」と語った。だが、世界的守護神から贈られた賛辞にも「11人いたら誰かしら警戒されると思う。そういう質問なので(ノイアーも)誰かしら言わないといけない。そんなに真摯(しんし)に受け止めているというよりも『そうなんだ』くらいな感じです」と取り合わない。
本人は意に介さずとも、周囲の熱は高まるばかりだ。英公共放送BBC(電子版)は19日に「W杯で注目すべき10人」(イングランド・プレミアリーグ所属選手を除く)を取り上げ、スペインの若き至宝ペドリ、ガビ(いずれもバルセロナ)やコスタリカのベネット(サンダーランド)らと並び名を連ねた。
記事では「若手有望株ではないが、もうすぐ(イングランド)プレミアリーグで見ることができるかもしれない。攻撃を得意とするが、(中盤の)深い位置でもプレーできるオールラウンドなMF」と紹介。さらに今季でフランクフルトとの契約が切れ、エバートンが獲得に興味を示していることなどを伝え「プレミアリーグで本当に輝きを放つ、初めての日本人選手になれるか」と期待を込めた。
途中出場した17日のカナダ戦ではボランチに入り、中盤の底で存在感を放った。終了間際に相手のPKで勝ち越された際には、拳で芝生を叩いて悔しさをむき出しにした。「どんな試合であれ勝ちたいと思うし、欧州に来てより勝負の部分にこだわるというのはすごく感じている」
海を渡り、勝利が周囲の世界を変えると実感した。「日本人の価値をこの大会で高めないと駄目だと思っている」。ドイツから得る勝利は、勝ち点3以上の意味を持つ。「優勝候補だったり、いいチームに勝つことで(世界から)自分たちの見られ方を一気に変えられる」。冷静な口調の裏に情熱を秘め、優勝4度を誇る強国に挑む。