元日本代表・福西崇史氏がドイツ戦分析 堂安のゴール 気持ちの強い人にはボールが転がってくる みんなの意思統一が生んだ勝利
「カタールW杯・1次リーグE組、日本代表2-1ドイツ代表」(23日、ドーハ)
初戦で世界ランク24位の日本代表は、同11位のドイツ代表に2-1で逆転勝ちした。前半にPKを許して0-1で折り返したが、後半に堂安律(フライブルク)、浅野拓磨(ボーフム)が得点。優勝4度を誇る強豪からの金星について、2002年日韓、06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏が分析した。
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前半はドイツの内容が良くて、気になっていた右サイドで取られた部分があった。後半どう修正するかだったが、3バックにした。イチかバチかはあったかもしれないが、うまく生かしたと思う。
森保監督の采配も光った。フォワード陣を入れ、点を取るためにと割り切って交代した。久保を変え、鎌田が下がったことで伊東が下がらなくても良くなった。その部分が大きかった。
鎌田はボランチを経験していたし、直前のカナダ戦がかなり大きい。後半、鎌田と伊東のところがフリーになれたことも大きい。3バックは9月の親善試合でやっていたし、6月も試している。行くときにはこういう風に行く、と決めていた部分はあったと思う。
堂安のゴールは、みんなの力が一つになった。三笘がドリブルをしたときにも、南野が裏に走り、そこに鎌田がいて、堂安がいて、浅野が詰めていて、ボールを取りに行くというみんなの意図が結果につながった。その前に権田のセーブがあったから、攻撃にもつながった。
堂安は決めるという気持ちは絶対的にあったはずだし、それが生きた。気持ちの強い人にはボールが転がってくるものだ。
浅野も決めきったが、まずはコントロールがすばらしい。その前に何度もシュートを打っていたし、気持ちがつながった。最後はノイアーものけぞっている感じで、その上を超える冷静さがあった。最高のゴールだった。
この勝利は、守り切るなら守り切るとか、行くなら行くとか、みんなの意思統一が生んだと思っている。前半の結果で行かなくてはいけない状況ができたから、行ったということ。最後は守り切ることが徹底されていた。
前後半で状況が変わったが、日本はそれだけ個のレベルが高いということ。動揺することもないし、落ち着いていた。
コスタリカ戦に向けては変わらずでいい。勝ち点3を取ったからといって1でいいというより、3を狙いつつという戦い方でいい。相手がペースを握れば、しっかりブロックを作って守備をするとか、一喜一憂することのないようにしてほしい。
1次リーグ突破の確率は上がったと思う。ただ、2戦目の出来とか、ドイツ対スペインの結果にもよってくる。受けないという姿勢で変わらず戦ってほしい。