森保ジャパン 総合力で戦う!“ロストフの悲劇”教訓にいざ8強「ものにする」
サッカーW杯カタール大会の決勝トーナメント1回戦で、日本代表は5日午後6時(日本時間6日午前0時)から前回準優勝のクロアチアと対戦する。史上初の8強入りを目指す森保一監督(54)は4日、ドーハ近郊で行われた前日会見で「総力戦として総合力で戦いたい。チーム全体で試合をつないで最後ものにすることをやっていきたい」と力強く勝利を宣言。見たことのない新しい景色へ、森保ジャパンが挑む。
日本サッカーの歴史を動かす。史上初の8強入りの偉業を懸けた決戦前日にもかかわらず、森保監督に気負いは一切なかった。「非常に楽しみにしている。タフで激しく、難しい試合になると思うが、これまで積み上げてきたものを準備して、選手たちには思い切って自分たちのプレーを発揮してほしい」。穏やかに淡々と、いつも通り抱負を述べた。
「ロストフの悲劇」を忘れていない。コーチとして帯同した18年ロシア大会の決勝トーナメント1回戦。2-0から逆転を許し、後半ロスタイムには「14秒」の速攻から逆転を許した。敗退の決まったピッチで西野前監督から指揮を託された。
「前回も十分、ベスト8にいけるだけの戦いはできた。しかしラウンド16で大会を去らなければいけなくなった」。コーチとして力が及ばなかったことを悔い、「あの経験があったからこそ、反省だけでなく、成果と課題を生かしていこうと今回のチーム作りをしている」と振り返った。
常に日本サッカーの未来だけを見据えてきた。日本のためになるなら自身の「解任」すらいとわなかった。そこに私心は一切ない。権田は「森保さんは(話の)主語が日本代表ではなく、日本や日本サッカー界。リーダーの形としてはすごく興味深い」と語る。
日本サッカーのために「冷酷なこともたくさんやってきた」と自嘲気味に語る。メンバー選考では4年間の功労者でもあった大迫勇也(神戸)原口元気(ウニオン・ベルリン)を外し、「非情なことをした」と認めた。
一方で選手を信じ、自主性を重んじ、我慢強く向き合ってきた。大一番のスペイン戦の戦術では選手の意見を取り入れた。それは4年間で培ってきたものでもあった。この日の会見でも「日本サッカーの全ての歴史の積み上げを出してほしい」と願いを込めた。
「ベスト16の壁を破ると志していた、強い気持ちを持ってプレーしてもらうのが大切」。相手は前回準優勝で「非常に賢く戦える試合巧者」と評する東欧の強国だが、恐れるものはない。「勝つために必要な勇気を持って、勇敢に戦う姿勢を持ってもらいたい」と力を込めた。4年間だけではない、連綿と続く日本サッカーの集大成として、8強への壁を越える時が来た。