福西崇史氏が分析 世界は日本を認めてくれるはず あと一つ壁を乗り越えるためには個
「カタールW杯・1回戦、日本代表1(PK1-3)1クロアチア代表」(5日、アルワクラ)
日本は前回準優勝のクロアチアに1-1からのPK戦の末に敗れた。前半に前田大然(セルティック)が先制したものの、後半に同点とされた。延長でも決着がつかず、PK戦は3人が止められ、1-3で敗れた。初のベスト8進出はならなかった一戦を、2002年日韓、06年ドイツW杯日本代表の福西崇史氏が分析する。
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五分五分と言ってもいいぐらいの試合だった。クロアチアもいいチームで、どちらが勝ってもおかしくなかった。PK戦は最初の流れで、相手のGKが乗った。イチかバチかで勝負をしてきて、相手を揺さぶるような選手はいなかった。
PK戦は止められるときは止められるし、勢いがつくときは勢いがつく。GKを勢いに乗せてしまい、リズムもつかまれた。タイミングも合わされた。相手の選手は冷静に逆をつくようなシュートをした。PK戦は心理戦でもある。
1次リーグと比べて、試合の入りは大きく変わっていなかった。スペイン戦と同じように前田が行き、センターバックをうまくつぶしに入れなかったときに守田が出て行く。守りについてもスペイン戦と同じだった。
技術で言えば、クロアチアはスペイン、ドイツよりも劣る。日本はいろいろな動きに対してついていっていたし、守備ではスペイン戦、ドイツ戦のように、カバーはうまくしていた。
攻撃もこれまでと変わらなかった。局面で変えるときに、遠藤が崩したり、一人一人のサポートがうまく入ったときは、いい攻撃につながっていた。ボールを取った瞬間、前田や浅野は相手の裏を狙っていた。一貫してこの大会でやってきたことだ。
ベスト8に進出できなかったが、1次リーグを突破することも今は難しい。その中で1位突破したことはすごい。日本にそれだけの強さがある、ということに世界中の人が驚いた。
クロアチアは前回準優勝した力のあるチーム。ベスト8にいくためには、そういう強豪を3チーム、4チームと倒さないといけない。もっともっと力をつけないといけない。
あと一つ壁を乗り越えるためには「個」だと思う。三笘が入らなきゃ、堂安が入らなきゃではなく、例えば三笘がスタメンから使えて、もう一人、三笘みたいな選手がいたら、大丈夫。選手層を含めたレベルアップをしなくてはいけない。
今大会を振り返って、ドイツ、スペインに勝ったことは、かなりの財産になる。世界に出て行く選手はより増えるだろうし、世界は日本を認めてくれるはずだ。そして、足りないものが分かったわけで、選手を育てていかなくてはいけない。
4年後へ期待したい選手は堂安、鎌田、久保、三笘、冨安、遠藤らたくさんいる。そこへ追随する若い選手と、それでも負けないというベテランも出てくるだろう。今後に向けて、いい流れになっていくと思っている。