三笘薫 悔し涙26年大会で晴らす 後半“切り札”投入も不発「次で絶対に借りを返さないと」

 PKを止められた三笘薫の肩を抱く田中碧(撮影・金田祐二)
 PK戦の末に敗れ肩を落とす三笘(中央)ら(共同)
 延長前半、ドリブルで攻め込む
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 「カタールW杯・1回戦、日本代表1(PK1-3)1クロアチア代表」(5日、アルワクラ)

 三笘薫(25)=ブライトン=が号泣した。後半、“切り札”として投入されたが不発。PK戦のキッカーでは2番手に志願して失敗した。先制弾の前田も笑顔なく、今大会2ゴールで衝撃を与えた堂安や、途中出場した“ジャガー”浅野も勝利を呼び込めなかった。日の丸を背負い必ず、4年後、この悔しさを晴らす。

 悔し涙が止まらなかった。後半19分から“切り札”として投入された。だが、「流れを変えることをできなかった」と相手DFには対策され、これまで通じたドリブルは抑えられた。延長戦でも結着がつかず突入したPK戦では「勝たせたいと思った」と2番手のキッカーに志願して失敗した。

 目を真っ赤にして流した涙の意味を問われると「僕よりも、強い気持ちを持っている人への申し訳なさです」と答えた。「PKを蹴った責任はある。迷惑をかけた」。気持ちを込めて放ったが、無情にも相手GKにコースを読まれた上に、甘いコースのボールは止められた。

 昨夏の東京五輪では先発はなく、ベンチ外も経験するなど不完全燃焼に終わった。五輪後には川崎からイングランド1部ブライトンへ完全移籍し、期限付き移籍でベルギー1部サンジロワーズへ戦いの場を移した。ウイングバックも経験するなどして守備の強度を向上し、今大会の日本代表でも同ポジションで起用されるまでになった。

 精神的にも大きくなった。東京五輪準々決勝のニュージーランド戦では延長戦から途中出場。PK戦に入ると「自信があるわけではなかった。できれば回ってこないでほしい」と弱気。最後まで蹴らずに勝利し安どした。

 それが1年間で変化。敗退から一夜明け、「その時よりも気持ちが強くなったのは確か。そうじゃないと手を挙げない」とキッパリ。五輪を上回る大舞台で結果的に外したが、自ら蹴るという精神面の成長を明かした。

 初めてのW杯でスペイン戦ではゴールライン際を折り返す執念のアシストをするなど力は見せた。「こういう負け方をしてしまった以上は、次の大会で絶対に借りを返さないといけない。その悔しさを持ってやらないことは無責任かなと思う」。さらに成長して4年後のW杯に帰ってくる。

 ◆三笘薫(みとま・かおる)1997年5月20日、川崎市出身。川崎の下部組織出身で川崎ジュニアの1期生。筑波大を経て、2020年に川崎入り。プロ1年目に新人最多タイ記録となる13得点を挙げ、川崎のJ1制覇に貢献した。東京五輪終了後の8月にイングランド・プレミアリーグのブライトンに完全移籍。英国の労働許可証を取得できていない今季はベルギー1部サンジロワーズに期限付き移籍でプレー。今年7月からブライトンでプレー。178センチ、71キロ。

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