イエロー18枚の大乱戦 乱闘寸前の騒ぎもメッシ“魔法の左足”でPK制しアルゼンチン4強
「カタールW杯・準々決勝、オランダ代表2(PK3-4)2アルゼンチン代表」(9日、ルサイル)
3度目優勝を目指すアルゼンチンと前回準優勝のクロアチアがともにPK戦を制して準決勝に進出した。アルゼンチンはオランダと延長を終えて2-2から突入したPK戦に4-3で勝ち、2014年大会以来の4強入りを果たした。
魔法の左足がアルゼンチンを2大会ぶりの4強に導いた。メッシは前半35分にモリナの先制点をアシスト。相手の股下を抜き、ゴール前を固めた6人の守備陣を一瞬で無力化する奇跡のようなスルーパスだった。1-0の後半28分には味方が倒されて得たPKを右隅に沈めた。W杯通算10得点目でバティストゥータの持つ母国の歴代最多得点に並んだ。
終了間際に追い付かれ、延長の末に突入したPK戦では1人目を担った。先蹴りのオランダ1人目、ファンダイクが失敗した後、難なく左隅に決めて流れを呼び込んだ。アルゼンチンはW杯最多5度目のPK戦勝利。死闘を制したメッシは「全員が主役になって走り続けた」と喜んだ。
試合は荒れに荒れた。国際サッカー連盟(FIFA)によると、両チーム合わせて過去最多となる計18枚のイエローカードが乱れ飛んだ。後半終了間際にはパレデスがオランダベンチにボールを蹴り込み、乱闘寸前の騒ぎにもなった。メッシは「カードをあまりにも出し過ぎた。重要な試合であんな態度は感心しない」とマテウ主審への苦言を呈した。
メッシ自身もPKを決めた直後、オランダベンチに向けて両耳に手を当てるパフォーマンスで相手を挑発。試合後にはオランダのファンハール監督に詰め寄った。敵将の発言が敬意を欠いていたと感じていたようで、英「スカイスポーツ」はメッシが「あんた達はしゃべり過ぎだ」などと言い放ったと伝えた。
さらに母国メディアのインタビュー中にオランダのウェフホルストへ向けて「何を見てるんだ、バカ。向こうに行け」と苛立ちをぶちまけ「落ち着いて」となだめられる動画が世界中に拡散された。
ピッチ内外で大暴れしたメッシは今大会4得点2アシストと別次元の輝きを放っている。35歳を迎え「最後の挑戦」と位置付ける自身5度目のW杯。「ディエゴは天国から僕らを後押ししてくれている」と、2年前に死去したマラドーナさんへの思いも口にした。1986年に英雄が掲げた優勝杯以来の栄冠まで、あと2勝と迫った。
◆警告18度は最多 オランダ-アルゼンチンで18枚ものイエローカードが出たが、英BBC放送などによるとW杯の1試合最多記録。これまで2002年日韓大会1次リーグのカメルーン-ドイツ、06年ドイツ大会決勝トーナメント1回戦のポルトガル-オランダで16度の警告が出た。