モロッコ 快進撃ついにストップ 決勝逃すも主将・サイス「この経験は次に生きる」
「カタールW杯・準決勝、フランス代表2-0モロッコ代表」(14日、アルホル)
2連覇を目指すフランスがモロッコに2-0で勝利した。アフリカ勢として初めて4強まで勝ち上がったモロッコは欧州、南米勢以外で初の決勝進出を逃した。17日(同18日未明)の3位決定戦でクロアチアと顔を合わせる。
悔しさに顔をゆがめるモロッコの選手たちに真っ赤なスタンドから拍手が送られる。英雄をたたえるような熱烈な喝采だ。アフリカ勢初の準決勝を堂々と戦い抜き「選手たちはわれわれのいいイメージを世界に示してくれた」とレグラギ監督。決勝には届かなかったが、果敢な戦いで前回王者を大いに苦しめた。
立ち上がりに失点し、堅守が武器のチームが今大会初めて先制を許した。さらに守備の要、サイスが前半21分に負傷交代。極めて厳しい流れの中、速攻の一本やりと思われていたチームが巧みなボールタッチやパス交換で鮮やかに攻め、世界を驚かせた。
技巧派ぞろいの右サイド。ハキミ、ジエシュ、ウナヒが滑らかにポジションを入れ替えながらピッチに三角形を描き、何度も切り崩した。後半の立ち上がりには3人の連係を中心に波状攻撃。しかし好機で足を気持ちよく振らせない相手守備が一枚上手だった。シュートを13本放ちながら無得点に終わった。
強豪パリ・サンジェルマン(フランス)で活躍するハキミは24歳で、鮮烈な印象を残したウナヒはまだ22歳。主将のサイスは「この経験は次のW杯にも生きる」と力説し、レグラギ監督は「サッカーの勢力図を変えたい」と野心を口にした。歴史を一つ塗り替えた選手たちは、さらなる飛躍への糧を得た。