マラドーナ超え神伝説 仏と120分死闘も最後はPK決着 メッシ「まだ代表は引退しない」
「カタールW杯・決勝、アルゼンチン代表3(PK4-2)3フランス代表」(18日、ルサイル)
アルゼンチンの選手たちは、メッシを先頭に跳びはねながら「オレ、カンペオン(見事だ、王者よ)」と高らかに歌った。黒星スタートからの優勝は2010年のスペイン以来、2チーム目だ。どん底から36年ぶりの頂点へとはい上がった。
35歳のメッシには何人も抜いてゴールを決めるような全盛期のすごみはない。だが、一瞬で勝負を決められる力は残されている。その残り火をチームは生かし切った。
流れの中からのゴールが物語る。前半36分の2点目。自陣で受けたマカリテルはメッシに渡すと前に走った。絶対に球を失わないと信じて疑わないアクセルの踏み方だった。果たして、メッシから右を経由して再びマカリテルに戻り、ディマリアが仕留めた。延長後半の3点目に至る崩しも、La・マルティネス、メッシ、フェルナンデス、そして再びマルティネスと全てがワンタッチ。信頼とあうんの呼吸がゴールへとつながった。
スカロニ監督は18年夏の就任から1年が過ぎると「メッシを助け、一緒にピッチにいることが心地よいと感じる選手」でチームをつくると決めた。天才に寄りかかるのではなく、エースと手を携え、同じ感覚で戦える伴走者を集めた。
21歳のフェルナンデスもその一人。大会最優秀の若手に選ばれたMFは「僕のアイドル」というメッシにトロフィーを掲げさせようと決勝は15キロも走った。メッシは今大会でのプレーがよほど楽しかったのだろう。「まだ代表は引退しない。王者としてプレーしたい」と、代表では不満げで孤独に見えた過去と決別。スカロニ監督は「このチームは完璧な組み合わせだったね」と破顔した。