鳴き声と行動の関係調査 サシバ、越冬地奄美大島で

 絶滅危惧種の猛禽類サシバの、国内最大の越冬地とされる鹿児島県・奄美大島で、関西地方の野鳥研究者らがつくる二つのグループが11月、特定の個体を追跡して撮影し、鳴き声を録音した。鳴き声と行動の関係を解明することが目的で、大阪府の牛込祐司さん(44)は「見えてくるものがあった。調査結果はサシバの保全に結びつくと思う」と手応えを語った。

 調査は2022年以降3回目。長年、サシバの生態を追っている奄美大島在住の与名正三さん(73)が同行し、個体密度が最も高い奄美大島南部の宇検村で行った。

 与名さんによると、越冬地で発する鳴き声は、ほとんどがなわばりの保持が目的とされてきた。だが、22年に続いて今回も、短音の小さな鳴き声で、別の一羽にすり寄る行動が見られた。

 与名さんは「鳴くのは威嚇のためだけでなく、好意を持って近寄るためのものもあると考えられる」と分析している。

 両グループの代表の小室巧さん(62)によると、羽の模様や色で識別した8羽に、それぞれ名前を付けて追跡した。「3日間の調査で同じ個体の鳴き声を確実にとれた」と話した。

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