人工黒トリュフ、今年も発生成功 「栽培化へ進展」、岐阜試験地で
岐阜県森林研究所(同県美濃市)と森林総合研究所(茨城県つくば市)は5日、高級キノコの黒トリュフを昨年に続き今年も同じ試験地で発生させることに成功したと発表した。商品として国内で流通させることを目指しており、森林研究所の水谷和人主任専門研究員(63)は「栽培化に向けて一歩ずつ進んでいる」と話す。
水谷さんによると、トリュフは生きた樹木の根に共生して養分を取り入れる「菌根菌」の仲間。2016年に国内で自生している黒トリュフ「アジアクロセイヨウショウロ」の菌をつけたコナラの苗木を岐阜県内の試験地に植えたところ、23年10月、黒トリュフが2個でき、国内初の人工発生に成功した。
今年10~11月には12個発生。苗木に付けた菌と遺伝的に同一だったことから、菌が定着し、土中で安定的に増殖しているとみられる。
5日に採ったばかりのトリュフは、熟成させたものに比べると香りは薄く、切った断面は大理石のような模様だった。
研究所は再現性を確認し、短期間で安定的に栽培できる技術開発を進めたいとしている。