本気すぎるコスプレにして素顔は敏腕公務員「バナナ姫ルナ」

 北九州市をPRする「バナナ姫ルナ」
 北九州市をPRする「バナナ姫ルナ」(右)
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 「本気すぎるコスプレ公務員」がいると話題の福岡・北九州市観光課。職員自ら観光スポット・門司港のイメージキャラクター「バナナ姫ルナ」に扮し、PRのため九州地方にとどまらず全国各地のさまざまなイベントに奔走している。7月に行われた第16回神戸みなとまつりにも登場。暑さに負けない熱意で、北九州市の魅力を笑顔いっぱいで伝えた。

 各都市のブースが並ぶ中でも、ひときわ目立っていた。17日の神戸みなとまつり第2日。北九州市のブース前で、鮮やかな黄色のコスチュームが映える。北九州市・観光課の井上純子さんが「バナナ姫ルナ」に“変身”して、地元の魅力を猛アピール。通りがかった人々も、思わず立ち止まって興味津々だ。写真撮影を求める声も、数多く挙がっていた。「法被やジャンパーを着てパンフレットを配る従来の手法よりも、断然反応が違いますね。写真を撮ってもらってSNSにアップしてもらうだけでも、北九州市のアピールになりますから」と、同課の観光係長・末松剛さんもしたり顔だ。「バナナ姫ルナ」は、門司港がもともとバナナのたたき売り発祥の地ということで誕生したキャラクター。独特の口上を述べながら客を引き寄せたたたき売りの手法と、どことなく通じるものがある。

 コスプレのインパクトにばかり注目されがちだが、決して見た目だけではない。16日の第1日目は「バナナ姫ルナ」を“封印”。井上さんも一職員として、ブースでPR活動に励んだ。目玉企画は「金平糖すくい」。国内でも数少なくなった金平糖製造工場が北九州市に現存していることを知ってもらうべく、スプーンを使って金魚すくいの要領ですくってもらうPRを行った。ゲーム感覚で楽しめるとあって、子どもたちを中心に大盛況。「これも実は、井上のアイデアなんです」と、末松さんが明かしてくれた。「みなとまつりということで、縁日風のPRができないかと考えたんです」と井上さん。そもそもコスプレをしての観光PRも、井上さんからの提案で実現したもの。素顔のままでも、アイデア満載の立派な敏腕公務員だったというわけだ。

 井上さんの柔軟な発想力の源は、「北九州市に訪れたお客様に喜んでもらいたい」という一心からきている。生まれも育ちも北九州市で、郷土愛は尽きない。「バナナ姫ルナ」としての活動で全国各地に“出張”しても、ついついその土地の観光面ばかり気になってしまう。「神戸は港町ということで北九州市と似ている面もありますが、観光整備がしっかりしていて見習うところが多いです」(井上さん)。常に観光PRへのアンテナを張っている姿がキラキラして見えるのは、コスプレの衣装だけが理由ではないように思えた。

 8月には、博多駅発着で「バナナ姫ルナと行く!『夏の思い出北九州観光バスツアー』」も控える。これも、井上さん自身が企画を発案したものだ。“すべらない”発想力で、どんどん面白いPRを進める「本気すぎるコスプレ公務員」に今後も目が離せない。(デイリースポーツ・佐藤 敬久)

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