喫茶店でドリンクを注文すると「おまけ」が無料で付くモーニングサービス。もとは愛知県一宮市の喫茶店で生まれたとする説が有力で、今では味噌カツや手羽先と並ぶ「なごやめし」の一つとして知られる。

　ドリンクに付くのはトースト、ゆで卵、サラダ、時には茶わん蒸し、カットフルーツと内容こそ店によるが、開店時間からランチ前までの時間限定で行うのが一般的。ところが、モーニングサービスを一日中行うのが名古屋駅近くにある喫茶リヨンだ。

　店に立つ川合正樹さんの父、和行さんが創業者であり、フルタイムモーニングを２０年以上前に取り入れた考案者。

　「昔、ウチもモーニングは１１時まででした。ですが、５分でも過ぎていたらサービスを受けられないお客さんがいることに、父は申し訳なさを感じたそうです。時間を延長する手も考えましたが、どこかで区切ると結局は誰かが不びんな思いをする。それじゃあ一日中やろうと決めたんです」

　ドリンクに付くモーニングメニューは６種類。小倉あんプレスサンドが一番人気だが、野菜サラダやポテトサラダといった、惣菜系を挟んだパンもあるのがありがたい。モーニングサービスを付けるかは自由に選べて、やはり朝の時間帯によく出るものの、それでもお昼過ぎ、夕方の客も半数以上はおまけのサービスを楽しんでいる。

　「昼や夕方のお客さんにも、当然ながらモーニング付けますか？って尋ねるんです。すると一拍おいて、それってモーニングなの！と逆にツッコまれることもしょっちゅう」と、人懐っこそうに笑う正樹さん。

　週末になると、東海圏で生まれたモーニングサービスを体験したいと約半数の席が観光客で埋まるほど。今では名古屋観光の一つに組み込まれる名物喫茶店になっている。

　◆モーニング喫茶　リヨン名駅店

　▽場所　愛知県名古屋市中村区名駅南１－２４－３０　名古屋三井ビルディング本館別棟

　▽電話　０５２（５５１）３８６５＝営業時間８～１８時