アルパカ、ヒツジ…高校生が運営する動物園、大阪で人気
高校生が運営する動物園が大阪にある。大阪府立農芸高校(堺市)が今年で創立100周年を迎えたのを機に整備した芝生丘陵を利用して、資源動物科ふれあい動物部の生徒が週に3回アルパカなどを放牧し、一般見学者とふれ合えるようにしたもの。9月30日から秋シーズンの公開が始まっており、今後は地域の小学校や幼稚園などの見学も積極的に受け入れていく予定だという。
正門脇の「百周年の丘」と名づけられた芝生エリアで、アルパカ4頭、ポニー4頭、ヒツジ2頭、ヤギ2頭がのんびりと草を食んでいる。見学者は自由に出入りでき、網ごしに動物にふれたり、エサをやったりすることもできる。正門から入る道と丘には柵は設けず農業用水の水路で仕切られているだけ。丘は道に比べて70センチ高くし、道を歩く人が動物を同じ目線の高さで見られるようにしている。設計を担当した大阪芸術大学教授で動物園デザイナーの若生謙二さんは「まちの中でニワトリや牛などを当たり前のように目にした昔とは違い、今は日常的に動物と触れ合う機会が減ってしまった。できるだけ動物を身近に接することができるよう工夫を凝らした」と話す。
動物の公開はふれあい動物部の約50人の生徒が活動を担っている。来場者には担当する動物の生態についての解説をするなどして動物と共存する大切さも伝えるようにしている。「できるだけ自然のままの姿を見てもらうように努めています。動物は人の気持ちを感じることができ、人が怖がると動物も警戒するが、やさしく声をかけてあげると喜ぶ。動物のかわいらしさを知ってほしい」と副部長を務める3年生の南雲香澄さん。将来の夢はドッグトレーナーになることだという。
堺市在住の阪口祐介さん、郁恵さん、桂伍君(3)親子はこの日の公開に合わせて自転車でやってきた。「息子が動物好きで天王寺動物園にもよく出かけています。近くで動物とふれ合える機会ができたと聞いて喜んで来ました」。アルパカの顔をかたどったバッグをぶら下げた桂伍君はアルパカのエサやりを体験させてもらい「楽しかった。何度も来たい」とうれしそうに話していた。
ふれあい動物部顧問の講師、大西哲平さんは「人とのコミュニケーションが苦手な生徒でも動物を介するとイキイキしてしゃべりだす様子を見て、動物の持つ力を日々実感している。より多くの人に豊かな感情を呼び覚ます動物にふれてほしい」と話す。同部ではこれまでも地域の小学校や福祉施設などを訪問する「移動動物園」の活動を続けてきたが、今後は近隣の小学校、幼稚園に来てもらう機会を増やしていくという。「合わせて農場なども見てもらい、農業や畜産業などにも興味を持ってもらうことができれば」と期待を寄せる。
公開は毎週火曜、金曜と土、日曜のいずれかに公開予定。公開日時は同校ホームページで紹介されている。(デイリースポーツ特約記者・山口裕史)