選挙にかかるお金 チラシは数千万円の場合も 「金魚鉢」レンタル料は100万円
衆議院選挙の投票日が迫ってきた。今回の総選挙では小選挙区289、比例代表176の合わせて465議席をめぐって1180人の立候補者がしのぎを削っている。そこで気になるのが、選挙にかかるおカネ。当選すればお金をかけたかいもあるが、落選すればすべては水の泡となって消える。1回の選挙で一体どれくらいの費用はかかるものなのだろうか。
期間中毎日のように見かける選挙カー。そのレンタル料を専門業者に聞いてみた。小池百合子東京都知事が都知事選で使った通称「金魚鉢」と呼ばれるガラス張りの特別仕様車を保有していることでも知られるグリーンオート(神奈川県足柄上郡大井町)によると「衆議院議員選挙用のパッケージ価格を用意しており、期間中のレンタル料は軽自動車で30万円、金魚鉢で100万円」と担当の若狭侍郎さん。
同社では全部で30台の選挙カーをラインナップしているが、9月17日に安倍首相が解散の意向を固めたという報道が出た2、3日後には30台すべての予約が埋まったという。
大阪府選挙管理委員会によると、前回の2014年12月に行われた衆議院選挙時の選挙運動費用としての総支出額は3億7871万円で、これを出馬した65人の候補者で単純に割ると1人当たり583万円がかかった計算になる。これに供託金300万円(比例代表との重複立候補の場合は600万円)を法務局に預けなければならず、合わせると用意しておかなければならないお金は1000万円前後となる。
選挙にかかる経費は、主なもので事務所の賃貸料、選挙カーのレンタル料、人件費、看板代、チラシなどの印刷費、新聞広告代などが挙げられる。このうち、一部は公費負担(選挙カーの場合、1万4500円×12日=公示期間日数)で戻ってくる。またボランティアが支える候補者の場合、人件費をかなり抑えることができる。
首長選挙や県議会議員選挙などに数度の出馬経験を持つある県議会議員によると「選挙費用の7割ほどは印刷代と人件費で消える」と実態を明かす。例えば、出馬した選挙区に20万世帯あるとすれば、印刷代と全戸へのポスティング費用を合わせて1枚当たり10円で換算した場合、1回で200万円が飛んでいく計算だ。
これを選挙期間中、さらには公示期間前の政治活動期間中も合わせて仮に5回配ったとすればそれだけで1000万円になる。「このチラシを何回配るかでかかる費用も1000万円程度から数千万円程度まで幅が出てくる。特に新人の場合は知名度がないためチラシに頼らざるを得ないところがある」と説明する。多額な選挙費用のハードルを下げるにはチラシに代わるSNSやメールを使った情報発信をどこまで活用できるかがカギを握りそうだ。(デイリースポーツ特約記者・山口裕史)