家族、ペットが3Dフィギュアに!一眼レフカメラ83台で同時撮影、忠実に再現
一眼レフカメラ83台で被写体を瞬時に撮影し、精巧なオリジナルの3Dフィギュアを作るスタジオが福岡にある。株式会社エイチツー(福岡市中央区大名、林大祐代表取締役社長)が今年3月から販売する「3DフィギュアPetit-mo(プチモ)」だ。子どもやペット、ウェディング、入学式や卒業式での晴れ姿など、大切な思い出を立体で残すことができ「すごくリアル」と好評だ。
「3DフィギュアPetit-mo(プチモ)」は、一眼レフカメラ83台を使い、被写体を360度取り囲んでさまざまな角度から同時撮影。それらの画像をつなぎ合わせ、立体的な3Dデータを作成するしくみ。「フォトグラメトリー」と呼ばれる技術を採用している。
特徴は撮影が一瞬で済むこと。「たとえばハンディースキャナーで3Dフィギュアを作る場合、スキャニング中に被写体(生き物)が動いてしまうとデータが微妙にずれてしまいますが、この方法だとさまざまな角度からのデータ収集が瞬時に終わるので、より高精度な再現が可能なんです。また、フィギュアの命ともいえる顔の部分は他の部位よりカメラの台数を増やしているので、表情も忠実に再現できます。じっとしていないことが多い幼い子どもやペットなどには特に向いていると思います」と林社長は話す。
照れ笑いしながら林社長が見せてくれたのは、スーツ姿で腕組みし、キリッとした表情で立つ自身のフィギュア。繊細な表情、上着やズボンのシワにいたるまで、精細感に富んでいて実際とそっくりだ。
「学生時代、アニメのフィギュアを数十体ほど集めていたことはありましたね(笑)。東京にいる親戚が新事業でこれをやろうとしているのを手伝っていたとき、クオリティーの高さに驚き、面白いと思ったのがきっかけです。3Dフィギュアだけでなく、リアル系ゲームで自分や友人のキャラクターを製作するなど、VR(バーチャルリアリティー)にも応用していきたいと思っています」(林社長)
3Dフィギュアは、結婚するカップルの正装姿、ハイハイする赤ちゃん、小学校入学時のランドセル姿、ハロウィーンやクリスマスで家族だんらんの様子など、依頼ポーズはさまざま。表情やポーズは納得いくまで取り直し可能で、製作料金は一体4万円(税別)から。中でも飼い犬などペットは注目を集めているそうだ。
3歳のボストンテリアを飼っている20代後半の男性客の場合、同居の他の犬が病気だそうで、「(ボストンテリアの)この子が若くて元気な姿を、今のうちに残しておきたい」と来店。飼い主にしかわからない小さな模様、美しい毛並みまで忠実に再現された完成品を見て、「期待以上の出来にびっくり。すごくリアル」と満足げだったという。「『愛犬が亡くなってもずっと一緒にいられるように』、『遺影の代わりに』と作られる方もおられます」(同)
人も動物も生き物は時の経過とともに姿形を変えていく。「記念日に写真館で写真を撮ってアルバムに残すように、人生の大切な瞬間や思い出を3Dフィギュアで残すという新しい文化を築いていきたいです。愛する家族やワンちゃんのフィギュアを見て、昔はこんな姿だったんだなと手にとって振り返ったり、当時に想いを馳せたり…。もしかしたらこの3Dフィギュアの真価を本当に感じられるのは数十年後なのかもしれません」と林社長は話した。問い合わせは同社ホームページ https://www.petit-mo.com (デイリースポーツ特約記者 西松宏)