“色彩の魔術師”坂口國男氏の油彩画集が発行 欧州でも根強い人気
本場・フランスに認められた日本人の作品が、にわかに注目を集めている。花の静物画やフランス、イタリアの街を描いた風景画を多く残し、14年に75歳で死去した現代洋画家・坂口國男氏。ヨーロッパの絵画コレクター間では、根強い人気を誇っている。
坂口氏は東京芸大の大学院を修了後、1970年からフランス政府給費留学生として渡仏。パリ国立高等美術学校や、マルセイユ・リュミニィ建築美術学校で腕を磨いた。帰国後も精力的に活動し、東京セントラル絵画館や日本橋高島屋、日本橋三越で個展を開くなど活躍した。
作品において特に評価が高いのは、「色彩の魔術師」と異名を取ったほどの、独特の色使い。中でも「坂口レッド」と称された赤色の使い方には定評があり、現代の画家にも影響を与えている。また、坂口氏が描く花の特徴は、「実在しない」ということ。「キャンパスにしか咲かない花を描く」というモットーのもと、すべて空想で作り上げた花の像を、鮮やかに再現している。
そんな坂口氏の絵を、さらに世の中に知らしめようと、今年7月、三上靖史氏(47)が発起人となり、全268作品を収めた「坂口國男 油彩画作品集」が発行された。三上氏は坂口氏の魅力を「華やかな色彩を巧みに重ねて作られる、独特の世界観」と説明。「志半ばで亡くなられた坂口さんの作品を、野に埋もれさせておくのは惜しい」と話し、将来的には坂口氏の記念館を設立する構想もあることを明かした。