キットカット 多種フレーバーは日本だけ 要因は消費者の欲求と流通の努力
1973年に英国から上陸して以来、チョコレート菓子として不動の地位を誇る「キットカット」。ミルクチョコレートの定番商品以外にも抹茶やフルーツなど、さまざまな味のバリエーションが人気だ。
以前、オーストラリア・ビクトリア州の地方紙「THE AGE」電子版で「信じられないが、日本には300種類以上ものフレーバーキットカットがある。いくつかの味を検証してみた」というコラムを目にした。アメリカの大手放送局「CBS」のサイトにも「驚くべき、不思議な日本のキットカット」と題したコラムで「ベイクドポテト、しょうゆ、フルーツパフェ…これらはおいしい料理というだけでなく、日本のキットカットのフレーバーにもなっているのだ」などと紹介されていた。
「キットカット」を扱う「ネスレ日本」関係者によると、フレーバーキットカットが存在するのは日本だけ。2000年代に入ったころからストロベリー、オレンジ、バナナなどが売り出され、これまで発売された期間限定、地域限定を含めると延べ350種類ほどのフレーバーがある。抹茶味などはすでに定番化し、ドラッグストアの店頭に大袋が山積みで売られている。外国人観光客が日本土産に買い求めるそうだ。
キットカットの発祥は英国。今や世界各国で販売されているが、なぜ日本だけフレーバーが発展したのか。同関係者は「ひとつは消費者のニーズ。日本人には『新しいものを食べたい』という欲求が常にある。もうひとつは、コンビニエンスストアやスーパーなど流通関係者の『新しいものを作りたい、売り出したい』という企業努力があるのでは」と分析。国民性の結晶ともいえるオリジナルフレーバーは、今や海外に誇る食文化のひとつとなっている。
キットカット人気は増す一方で、同社は18日に、兵庫県伊丹市・大阪国際空港中央エリアで全国の空港初の常設店「キットカット ショコラトリー」をオープンする。これまでキットカットのオリジナル商品やフレーバーを開発・監修した「ル パティシエ タカギ」の高木康政オーナーシェフが全面監修。希少なピンク色のルビーカカオを使用した「キットカット ショコラトリー サブリム ルビー」や、チョコの上にベリーやナッツをトッピングした「モレゾン」など、17種を販売する。「ル パティシエ タカギ」のケーキ販売やイートインスペースも併設される。
同空港限定の箱に入ったギフトアソートもあり、抹茶&きなこ、ピスタチオ&ラズベリーなどのフレーバーが楽しめる。箱は「Ookini(おおきに)」と英文字が入った赤箱と、大阪らしい「恵比寿さま」デザインの黒箱がある。すっかり日本オリジナルとなったキットカットの進化は、まだまだ続きそうだ。(デイリースポーツ・中野裕美子)