全編怪談話の異色ラジオ番組 生き残りかけた既存メディアの工夫とは

出演者の(左から)ミュージシャン・ひづきようこ、木原浩勝氏、プロレスラー・松山勘十郎
スタジオで収録に臨む佐々木孝昌ディレクター
取材ノートを手にする木原氏
3枚

 インターネット全盛の時代で生き残りをかけて工夫が必要とされる既存メディア。テレビ、新聞、書籍、そしてラジオ。兵庫・神戸市に本拠を置く中波放送・ラジオ関西は全国でも珍しい番組を作り、リスナーをひきつけている。毎週水曜深夜(午後11・30)に放送中の「怪談ラヂオ~怖い水曜日」だ。タイトル通り30分全編が怪談話。ポッドキャストで驚異の毎月30万超ダウンロードを誇る人気番組に成長した理由を佐々木孝昌ディレクター(44)に聞いた。

 「いまだにスポンサーが付かないんです」。佐々木ディレクターはそう苦笑いする。当初は2015年2月から実験的に始めた30分番組。「なんで夜中に怖い話なんて放送するんや!」といったクレームも寄せられた。それでも“怪談界”の第一人者を自負する怪異蒐集家の作家・木原浩勝氏(57)が出演することもあり、着実にファンを増やした。

 いったん番組は終了したが、手応えを得ていた佐々木氏は「木原さんがウチの番組に出てくれるなんてめったにないことだから」と会社に直談判して放送枠を確保。同年4月、スポンサーなしの自主制作という形ながら「日本で唯一」全編怪談で構成される新番組が再スタートを切った。

 人気の秘訣(ひけつ)について木原氏は「本物の実話怪談だから」と胸を張る。スタジオジブリの元制作デスクで「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」にも関わった同氏だが「僕は怪談で培われてきた」と自己分析。こだわりは「取材に基づく実体験」の怪談で、その際「検証」を欠かさない。話の矛盾をつきながら相手の“脚色”をそぎ落として「本当の体験」に迫る。

 そのため共演のミュージシャン・ひづきようこ、プロレスラー・松山勘十郎が指摘するように「オチのない話も多い」が、この本物志向が支持を集めている理由でもある。同氏も「ホラー、都市伝説、怖い話、オカルトとは一線を画している」と絶対の自信を持つ。

 30万ダウンロードという数字は一体どのくらいすごいのか。仕事柄、東京のメディア関係者と接する機会も多い木原氏は「30万というと東京の人気番組と比べても1ケタ違う(多い)と驚かれる」と説明する。数字の裏打ちもあり、昨年から本編とは別収録となる「別冊・怪談ラヂオ」の有料配信(https://jocr.jp/online/program/kaidanradio/)をスタート。リスナーの反応は上々で、同時に過去の放送内容を収録したバックナンバーもよく売れるという。

 佐々木氏は「別冊(・怪談ラヂオ)の売り上げが製作費のようなもの。ゆくゆくはファンイベントを開催するような番組にしたい」と展望を語る。全編怪談に振り切った製作側の「思い切り」と「本物志向」という出演陣のこだわり。地方でも、製作費が少なくても…工夫次第で“お化け番組”は誕生する。(デイリースポーツ・弓場伸浩)

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