犠牲になった警備員の正義感が池田小のような悲劇防いだ…小川泰平氏が死因から分析

 富山市で26日に交番の警察官と近くの小学校にいた警備員が元自衛官によって殺された事件で、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は29日、デイリースポーツの取材に対し、銃弾に倒れた警備員の中村信一さん(68)の犠牲によって、2001年6月8日に発生した大阪府池田市の大阪教育大学付属池田小学校での小学生無差別殺傷事件のような悲劇が未然に防がれたと指摘した。

 元自衛官でアルバイト店員の島津慧大容疑者(21)は交番に押し入り、稲泉健一警部補(46)の頭部腹部を刃物で数十カ所刺し、奪った拳銃で近くの小学校の正門付近で中村さんに発砲。中村さんは頭や左肩を撃たれ、頭部損傷で死亡した。

 司法解剖の結果、中村さんの死因は左椎骨動脈損傷による大脳くも膜下出血と判明。ほおから後頭部に銃創痕があり、これは銃弾が頭部を貫通していることを示していた。

 小川氏は中村さんの銃創痕について「ほぼ正面から、しかも、かなりの至近距離から撃たれたと思われます。前から向かって来た、けん銃やナイフなどの凶器を持った容疑者に背中を向けることなく対峙(たいじ)したのだと思われます」と当時の状況を説明した。

 さらに、小川氏は「中村さんは小学校で行われている工事の現場に出入りする車両の誘導などに当たる警備員であり、事件とは全く関係のない方だった。それでも逃げずに正面から撃たれた。もし避難されていて、容疑者が小学校に入っていたらと思うとぞっとする。ちょうど17年前の6月に起きた池田小事件が思い浮かんだ。犠牲になられた中村さんの正義感が被害の拡大を防いだ」と、警備員の勇気を称えた。

 実際、富山県警は28日に小学校付近で発射された銃弾のうち1発が同小学校の仮設渡り廊下で発見され、もう1発は廊下を貫き、使用されていない旧保健室の天井に入り込んでいたことを明かした。

 池田小事件と同様、自暴自棄になった犯人が小学校を標的にした卑劣な犯行。子どもたちが凶弾や刃物の犠牲になった可能性もあっただけに、中村さんの尊い命の重さが実感される事件となった。

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