災害時のトイレ問題を解決する「圧縮保管袋」明日は我が身の意識で対策を
平成最悪の被害となった7月の西日本豪雨で死者が200人を超え、約7000人が避難生活を強いられている。6月には大阪府北部地震が発生し、改めて災害に対する備えの必要性を痛感させられた。このほど開催された「第12回オフィス防災EXPO」(東京ビッグサイト)を取材し、多種多様な防災グッズの中から、生活の中で不可欠な「排せつと睡眠」に焦点を当てた商品を紹介する。
災害で断水した時に困るのがトイレの問題だ。家庭や会社などで水や非常食を備蓄していても、災害用のトイレ対策は意外と見落とされがちである。
では、どう対応するのか。まずは消臭・抗菌機能の付いた「便袋」を水が流れなくなった便器や簡易便器に設置し、用を足した後は凝固剤を入れて封をして保管する。だが、頻繁に回収車が来られるわけではない。1か月ほど保管を余儀なくされるというケースもあり、その保管場所に加えて、悪臭や衛生上の問題が深刻となる。
同展に出品した「ミドリ安全」(本社・東京)によると、従業員100人の事業所では、使用済み便袋は1日500袋で、並べると約20平方メートルも場所を取る。家庭でも4人家族の場合は1日約20袋が想定され、1か月保管となると実に約600袋。多くの家庭では物理的に収納不可能だ。
2011年の東日本大震災で被災地から「なんとかして欲しい」という声が同社に寄せられ、約5年前に開発された「ベンリー圧縮保管袋」が効力を発揮している。使用済みの便袋約20回分をまとめてその袋に入れ、吸入口からポンプで内部の空気を抜いて圧縮するとコンパクトに固まり、積載も可能となって保管場所が30分の1に縮小される。同社の担当者は「袋は緑、黒、青と3色あり、生理用品や残飯にも対応できます」と補足した。
また、同社は水害対策として水道から1人でも注水できる水のう「タイガーダム」や軽量で持ち運びのできるL字型止水板「ボックスウォール」なども展示し、注目された。
一方、睡眠対策に視点を移すと、避難所だけでなく、帰宅不能になって会社などで寝る場合、寝具の備えがなければつらい。「湘南ワイパーサプライ」(本社・横浜)が開発した「エアーマット暖(DAN)」はA4サイズの箱に入っており、持ち運びやオフィスのデスク、自宅の本棚にも収まる睡眠グッズ。マットは幅60センチ、全長2メートル、先の部分を折り曲げて枕にすれば180~190センチで、硬さや柔らかさは空気で調整できる。実際に寝てみたが快適だった。
同社の担当者は「企業の備蓄品となっています。説明書も日本語だけでなく、中国語、韓国語、英語の計4カ国語にしています。また、災害時だけでなく、天候不良で飛行機が飛ばなくなった時に空港で利用客に配っていただいたケースもありました」と語る。
災害の被害に直接あっていない人でも、明日は我が身-。その意識で対策を進めたい。(デイリースポーツ・北村泰介)