東京五輪時に「行きたい街」1位は豊洲 五輪後の湾岸エリアは供給過多に
2年後の今頃は東京五輪・パラリンピックが開催されている。開閉会式の演出など輪郭が見えてきたが、その“器”となる街のイメージも変わっている。
住宅情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーが7月に発表した「みんなが選んだ住みたい街ランキング2018関東版 番外編」は、関東1都4県に住む20~49歳の男女を対象に実施したWEBアンケート(有効回答数7000人)をまとめたものだが、その中で「東京オリンピックの時、人気が出ていそうな街ランキング」に注目。五輪後も含めた東京の変容を探った。
1位はダントツで豊洲。2位の品川に倍以上のポイント差を付けた。ベストテンに入った月島(7位)、勝どき(9位)、新木場(10位)と同様、五輪関連施設が建設される湾岸エリアである。
SUUMOの池本洋一編集長は「いずれも近くに五輪の競技会場や選手村ができることで、道路や交通機関が整備され、商業施設なども増え、生活インフラが今よりも進んでいるイメージがあります。再開発によって街の魅力が増して、不動産の価値も上がりそうということで人気が出ています」と指摘した。
1位の豊洲は、関東大震災(1923年)の瓦礫処理で埋め立てられた土地。80年代後半のバブル景気の頃まで工業地だったが、88年に地下鉄有楽町線の豊洲駅が開業し、オフィスやマンションの建設ラッシュが始まった。現在は商業施設も充実した“タワーマンションの街”である。
池本編集長は「豊洲には再開発のポテンシャルがあり、“東京湾岸エリアの代表都市”というブランド認知が五輪とうまくかけ合わさったことが1位の要因だと考えられます。交通の要所的な部分もあり、ここ10年くらい、豊洲の中で一番人気のマンションは50%ほど価値が上がっている。例えば5000万円のマンションは7500万円に。東京都内の平均は30%の伸びなので豊洲の人気がうかがえます」と解説した。
東京五輪の競技施設が近いという理由だけなら、むしろ有明だが、今回の調査では15位だった。選手村に最も近いのは9位の勝どきだが、池本編集長は「商業インフラはまだ弱い。五輪により変化度は大きいので今後に期待」という。また、月島はタワーマンションが増える一方、「もんじゃ焼き」というご当地の名物があり、昔ながらの日本の風情を残す街として外国人観光客も増えている。
では、五輪後の東京はどうなるのか。
池本編集長は「個人的な見解」と前置きした上で、「選手村の跡地は分譲マンションになる予定ですが、相当な供給戸数になり、かつ、駅からも少し歩くので、割と手頃な値段で出てくるのでは?」と予測。さらに「五輪後の湾岸エリアは(住宅の)供給が多くなるので、これ以上、価値が上がるとは思えない。ただ、街に投資がかけられることで、住みよさを享受できるでしょう」と解説した。
「ポスト五輪」の未来予想図も気になる。(デイリースポーツ・北村泰介)