富田林脱走犯はお盆の日曜夜を狙っていた!?元看守の小川泰平氏が計画性を指摘
今年5月から大阪府警富田林署に勾留されていた無職・樋田淳也容疑者(30)が12日夜に同署から脱走した事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は14日、デイリースポーツの取材に対し、「私も刑事になる前に留置場の看守をやっていた」という経験を踏まえて、樋田容疑者が「お盆の日曜夜」を狙った計画的脱走を図った可能性を指摘した。
樋田淳也容疑者は富田林署の接見室で12日午後7時半頃から弁護士と面会。同8時頃に弁護士が退出後、仕切りとなるアクリル板を押して隙間から面会者側のスペースにすり抜け、署内の裏口から逃げたとみられる。同9時45分頃まで誰も気付かなかったという。
小川氏は「家族など一般人の面会は平日の執務時間内に限られるが、弁護士は土日や夜間も接見ができる。それでも、逮捕直後の容疑者ならまだしも、お盆のさなかに弁護士が接見に来るのは少々不自然であり、容疑者が日付時間を指定し、接見を依頼した可能性がある」と指摘した。
さらに自身の経験から「留置場の消灯は夜9時で、留置人は8時前から布団の出し入れや洗面を日課とし、当直の署員も応援に来る」と説明。「容疑者は3か月間の留置生活を通して、この時間帯に署内が手薄になることを知っていたのではないか」と分析した。
脱走につながる“スキ”となった、アクリル板の劣化、前室に置かれていたスニーカー、接見室の扉が開くとブザーが鳴る装置が作動していないこと、警察署内の裏口のある場所、乗り越えた高さ約3メートルの壁の近くに脚立が置かれていたこと…。いずれも同容疑者が認識していた可能性を、小川氏は示唆した。
「アクリル板は週に1度の通常点検に加え、月に1度は署長も立ち会う『大点検』があり、私もバンバンと手が痛くなるくらいアクリル板をたたいて耐久性をチェックした。今回は『要修理』だった。また、夜間15分に1回、留置場内を巡回する際に短靴で歩くと足音が出るため、私もスニーカーを履いていたことがある。ロッカーにその都度入れるのが大変なので(前室に)置いていたのでは」
同容疑者は弁護人との接見や知人らとの面会を数回重ねることで、アクリル板が壊れているなどの状況を把握できたとみられる。
小川氏は「ブザーは留置場側に鳴るため、うるさいという苦情があったにしても、電池を抜き取るのであれば、休日、夜間であっても警察官を前室に待機させておくべきだった」と1対1となる弁護士との接見時での危機感の欠如も指摘した。
樋田容疑者は強盗致傷や20代女性に対する強制性交などで今年5月以降、4回逮捕されている凶悪犯だ。
小川氏は「今年4月、愛媛県の松山刑務所大井造船作業場から受刑者が逃走した時期はゴールデンウィーク前だった。今回も、人の動きの多いお盆の時期を狙っている。大井造船作業場からの逃走時は車、スマホ、現金が盗まれたが、今回は、車やお金が盗まれたという情報はなく、隣の松原市出身ということもあって地元に仲間もおり、“支援者”がいる可能性もある。金品などある程度の支援を受けて遠くに逃げていることも考えられる」と推測した。