とことん阪神を愛するピザ職人 V記念セール熱望も…あのミシュランが一目置く腕前
“おしゃれな街”大阪・新町に阪神タイガースをとことん愛するナポリピザの専門店がある。「ピッツェリア・ダ・ティグレ」。聖地ナポリで修業した鹿子嶋健太郎店長(37)は、自他ともに認める大の阪神ファン。あのミシュランも認める腕前のピザ職人は、先の見えないCS戦線にやきもきしながら今年も「優勝万歳セール」の計画を温めている。
オープンは2014年6月。その10年前、04年が転機だった。当時の大阪外大でイタリア語を学び、ナポリに留学。「もともと自分で何かをやりたかったのですが、ピザの本場、発祥の地で生活するうちにピザ職人を見て、これで生きていこうと決めました」
大学卒業後、肉体労働などでお金をためて再びナポリへ。現地の人気店「ピッツェリア・ダ・アッテリオ」に押しかけ、修業を積んだ。その後は腕を見込まれ、シンガポール、オーストラリアなどのピザ店の立ち上げに参画。成功を収めた。
店を持つに当たって、こだわったのは2点。内装はシャンデリア、壁の色、床のタイルまで修業時代の店に合わせた。ピザ作りに一番大切な釜も本場から船で取り寄せた。そして、もうひとつが店名だ。“亀新フィーバー”からの阪神ファンは、店名に虎を意味する「ティグレ」を入れる野望を励みに海外修行を乗り切った。
店長いわく本場でのピザは、日本に置き換えると、そばやうどん、ラーメンのような存在。そこで店を日本風にアレンジしてカウンター式とし、自販機の食券制で簡素化をはかった。基本のマルゲリータとマリナーラ(各27センチサイズ)はそれぞれ900円、700円をキープする。
「このスタイルは業界初ですよ。それもこれもピザを気軽に食べていただきたいからなんです」
もちろん、簡素化しても手抜きは一切なし。小麦、塩、チーズ、トマト、サラミなど全て本場からの輸入。その味はイタリアのミシュランにあたる「ガンベロロッソ」から大阪で唯一選ばれていることで分かる。10月に京都で開催される本家ミシュランガイド出版記念パーティーへの招待状も届いているというから驚きだ。
評判を知ってか知らずか、広島・菊池、日本ハム・中田がぶらりとやって来たこともある。しかし、店長が来店を一番待ち望んでいるのは他でもない阪神ナイン。中でも大ファンの原口文仁だ。
「名鑑を見たら好きな食べ物はピザとなっていたんですよ。これはもう運命かな、と」
開店時から「優勝万歳セール」のプランを温め続けているが、阪神はCS進出すら危うい状況。「クライマックスに出て最後は広島を倒して、日本一になってほしいのですが」と気をもんでいる。
「デイリースポーツに掲載してもらうのが夢でした」と店長。ちなみに長女の名前は七梨(なり)ちゃん、長男は俊多郎くん。鋭い阪神ファンならだれから取ったか分かるはずだ。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)