死後離婚とは…正しくは姻族関係終了届、「行列」北村晴男弁護士に聞く

 NHK総合の情報番組「あさイチ」が15日放送分で「死後離婚」を特集で取り上げた。聞き慣れない言葉であることから、ネット上では「そんなことができるのか」「亡くなってから離婚?」などと話題に。どういう制度なのか、どのように手続きをするのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に概要を尋ねた。

 死後離婚という印象的な言葉が1人歩きをしている感がぬぐえないが、正しくは「姻族関係終了届」という制度を指す。夫婦の一方が亡くなったときに、残ったほうが配偶者の親きょうだいなどとの姻族関係を終わらせたいために役所に届けることによって成立する。

 姻族とは婚姻をきっかけとする親戚関係のことで、法律上、結婚すると配偶者の父母やきょうだいなどの間に生まれる親族関係を指す。配偶者が亡くなっても配偶者の親きょうだいとの姻族関係は継続するため、関係を断ちたい場合には届けることが必要となってくる。

 北村弁護士によると、姻族関係が終了すれば、当然ながら義理の親などへの介護を含む扶養義務が発生する余地はなくなる。

 民法728条第2項に基づいており、条文には「夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したとき」と記されている。

 方法は簡単で、届けたい人が本籍地または所在地の市区町村に提出すれば良い。関係を切りたい相手側の許可をもらう必要もない。自治体によってはホームページから専用用紙をダウンロードできるサービスをしているところもある。

 ここで心配になるのが、届けることによって義理の親と届出人の子どもとの関係、つまり祖父母と孫との相続関係が切れるのかということだが、北村弁護士は「そこには影響はありません」と話した。

 義理の親の側からも関係を終了させることができるのだろうか。例えば「あんな婿、あんな嫁とは…」と思った場合だ。しかし、それはできない。北村弁護士は「例えば伴侶が亡くなった後も嫁ぎ先に縛り付けられる昔ながらの家制度から女性を解放しよう、自由にしようという制度です」と意義を説明した。

 配偶者の死後、義理の実家との関係を断ちたいと思っている人には願ってもない制度。「あさイチ」では40代、50代の女性の間で急増中としている。

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 北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツなど幅広いテーマでメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(まぐまぐ)」を配信中。

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