最新の“関西版”ミシュランガイド 京都に10年連続の三つ星店、鳥取も対象地域に
注目の格付け本「ミシュランガイド京都・大阪+鳥取2019」の出版記念パーティーがこのほど、京都市中京区の「元離宮二条城」に“星”として評価された飲食店の料理人やシェフたちを招いて開かれた。「京都・大阪版」は毎年更新されており、今年が節目の10年目で掲載店は582。12日に発売された最新版のチェックポイントをまとめてみた。
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「二条城」が会場に選ばれたことに驚かされた。大政奉還が行われた歴史的舞台での開催はもちろん、初めて。「ミシュランガイド京都・大阪2010」発行から10年目を記念しての粋な演出だ。あいさつに立った門川大作京都市長(67)が話したように、当初は「京都の奥の深い味を格付けできるのか?」という疑問の声も上がっていたが、今やすっかり定着。「やっぱりミシュランの評価は気になります」と料理人にとってはいい励みにもなっている。
今回の大きな特徴は鳥取県が初めて対象地域に選ばれたこと。「食材が豊富で京都・大阪にも近い」というのがその理由だった。最上位の三つ星こそなかったものの、二つ星は2店。特にチェックしたいのがカニ料理として日本で初めて二つ星に選ばれた「かに吉」(鳥取市)だ。
2代目店主の山田達也さん(52)は「高くていいカニを出しているだけですよ」と素っ気なかったが「季節料理が評価されたことはうれしい。火入れや切り込みなど細かい作業によってカニの味わいは変化する。これからもお客さんを喜ばせたい」と11月6日のカニ漁解禁に向け、意気込んだ。失礼ながら、よく見るとカニのような顔。「よく言われるんですよ」と笑顔で返してくれた。
同じく二つ星の日本料理「みつき」(鳥取市)の店主・光井祐樹さん(37)は「鳥取のおいしい水と食材を使った普通のコース料理」と謙遜したが、オープンしたのは13年。わずか5年間でのランクインは注目に値する。
一方、全体では三つ星が昨年から1店減の計11店とシビアな一面も。それでも「菊乃井 本店」(京都市東山区)、「吉兆 嵐山本店」(京都市右京区)、「瓢亭」(京都市左京区)の3店が10年連続で三つ星に選出。「菊乃井 本店」の主人・村田吉弘さん(66)は「大変光栄です。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで関心が高まり、日本食の店が2・4倍に増えた。インバウンド客が増え、街が潤うのはいいこと」と話した。
なお、我々のような“庶民向け”となる「価格以上の満足感が得られる料理」ビブグルマン部門で新規掲載された店は、京都・大阪ともに24軒。特に“食い倒れの街”大阪はバラエティー豊かでピザ、スパイスカレー、穴子料理、押し寿司専門店などが選ばれた。なかでも個人的には「ピッツェリア・ダ・ティグレ」と「北浜あなごや」をプッシュしておきたい。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)