「おまけ」じゃなかったの?玩具菓子の老舗グリコのこだわり
江崎グリコ(大阪市西淀川区)の江崎記念館が、キャラメルのおもちゃで「平成」を振り返る特別展を開催中だ。おもちゃデザイナーの故加藤裕三氏が手掛けたおもちゃをはじめ、6センチ四方ほどのミニ絵本、さらにはスマホなどのアプリで楽しめる最新おもちゃ「アソビグリコ」など計300点を紹介している。
グリコのおもちゃは1922年(大正11年)に封入された絵カードが原点という。27年(昭和2年)から既製品の豆玩具や造幣局製のメダルを入れるようになり、35年(昭和10年)にセルロイドや木竹加工品などのオリジナルおもちゃが登場した。江崎記念館では常時、初期から現在までのおもちゃ約4000点を展示している。それを見るだけでももん絶するほど懐かしくて楽しいのだが、今回は特別展のお話です。
「平成おもちゃ」のイメージを特徴づけているのは、なんといっても加藤氏の素朴で愛らしいデザイン。87年(昭和62年)から、2001年(平成13年)に亡くなるまで、動物や昆虫、乗り物などをモチーフに、伝承おもちゃを現代風にアレンジした約260点を生み出した。「試作品は全て、実際に木を削って作っていたんですよ」と江崎記念館の館長岡本浩之さんは我がことのように胸を張る。98年(平成10年)以降、本物の木のおもちゃが封入されていたことを覚えている人も多いのでは。
05年(平成17年)のミニ絵本などを経て、17年(平成29年)にいよいよ登場するのが「アソビグリコ」である。専用アプリを起動させたスマホやタブレットで、封入されている木のおもちゃ(カバやキリンなどの動物全10種)を読み込むと、あら不思議、画面の中で動物たちが動き出す。全種コンプリートして愛でるもよし、ゲットした動物についてクイズ形式で学ぶもよし。このデジタル教育時代ならではの、親子で楽しめる仕掛けになっている。
時代を反映して、「男の子用」「女の子用」の区別がどう変遷していったかなど、特別展以外の見どころもたっぷり。ちなみにグリコは、「お菓子を食べる」と「おもちゃで遊ぶ」のどちらも大切にしたいという思いから、我々がつい「おまけ」と呼んでしまうおもちゃのことを決してそう呼ばないそうだ。「創業者・江崎利一の哲学を受け継いでいます。お菓子とおもちゃでひとつの商品なので」と担当者。世間的には「おまけ」の方がやや優勢な気もするが、「決して間違いではないので大丈夫ですよ」と一粒300メートル級の懐の広さを示す。(神戸新聞・黒川裕生)
◆特別展は平成が幕を下ろす来年4月末まで。入場無料。平日は要予約。江崎記念館ご予約ダイヤル:06(6447)8257