「シベリアン・ニュースペーパー」ドラマー・平尾正和がライトノベル作家に
ミュージシャンと小説家の二刀流といえば、町田康や辻仁成が知られるが、彼らは芥川賞作家で、純文学系ともいえる。インストゥルメンタルバンド「シベリアン・ニュースペーパー」(以下SN)のドラマー、平尾正和はエンタメで勝負。昨年、大手のKADOKAWAからライトノベル「アラフォーおっさん異世界へ!!でも時々実家に帰ります」で小説家デビューした。
SNは05年結成。英国公演を行ったりフジロックフェスティバルに出演したりするなど多様な音楽性を内外で高く評価されたが、メンバーのスケジュール調整が難しくなり14年に活動を停止した。
平尾はゲームのシナリオ作家を志し、ゲーム会社勤務の弟に相談。実績を作るための小説家デビューを勧められ、16年から小説投稿サイト「小説家になろう」に連載を開始した。これが編集者の目にとまり、早々に「アラフォーおっさん」でデビューを飾った。
また、「ほーち」という別名義でライトアダルトノベル「え、転移失敗!?……成功?」、「聖騎士に生まれ変わった俺は異世界再生のため子作りに励む」の両シリーズもスタートさせている。
エンタメを選んだ理由は「バンドでいいものを作ってもなかなか売れなかった。小説やったら、最初から売れるところを狙っていこうと思ったから」。ライトノベルは徹底的に研究したという。とはいえビジネス一辺倒ではなく、「楽しく書けるのも大事。嫌々、売れるものを書いているわけじゃない」と強調する。
SNは今年10月、4年ぶりに再始動。「アラフォーおっさん」は第3作が完成し、12月10日に発売される。
平尾は音楽家として「バンドはいけるところまでいきたい。メンバーとは新しいことをやろうぜ、次はグラミー賞じゃ!!と言っています。海外遠征にも行きたい」、小説家としては「売れたいですね」ときっぱり。二刀流の挑戦は、まだ始まったばかりだ。(デイリースポーツ・藤澤浩之)