認知症カフェってどんなカフェ?「誰でも参加できます」
街を歩くといろんなカフェがあります。チェーン店のカフェ、個人店のこだわりのカフェ、“ネットカフェ”“猫カフェ”“スポーツカフェ”やアニメの人気キャラとコラボしたカフェなど、さまざまなものがありますね。では、「認知症カフェ」をご存知ですか?『知らない』『聞いたことはあるけれど、どんな場所かはわからない』『認知症じゃないので関係ないと思う』…そんな答えが多いと思います。これから街の中でもっともっと広がっていく認知症カフェ。どのような場所かお伝えします。
「認知症カフェ」は平成26年には全国に655カ所ありましたが、その後急激に増え、現在では数千カ所で運営されています。大手チェーンのカフェでも千数百店舗なので、「認知症カフェ」はかなり多いのです。でも、よく知らない人が多いのも事実。お店が常設で毎日営業している一般的な「カフェ」ではなく、多くの「認知症カフェ」は定期イベントとして運営されています。地域包括支援センターや介護施設の職員、地域の認知症サポーターやボランティアの方が、公民館や高齢者施設の中で日時を決めて開催され、店名も別名を掲げている場所が多いので、身近にあっても気づきにくいのかもしれません。
「認知症カフェ」は分かり易く言うと、みんなのための「カフェ」×「認知症の理解や情報共有の場」です。私たちは普段カフェでは友達とお話をしたり一人でのんびりと過ごしますが、「認知症カフェ」は交流もできる場。認知症の人もそうでない人も誰もが参加できます。「認知症カフェ」では認知症についての相談や勉強会などの取り組みや、みんなでゲームをするなど楽しく過ごせる工夫をしています。もちろん、喋るのはあまり…という人はのんびりお茶だけという利用もOK。
また、最近では公共施設の中だけでなく、街の中のおしゃれなカフェで「認知症カフェ」が開催されることも増えてきています。種類の豊富な飲み物や食べ物を自由に購入し、「認知症カフェ」のテーブルに着くと、きっと「認知症カフェ」の開催者が笑顔で声をかけてくれるでしょう。認知症についての疑問や相談をするもよし、何をしているのか知りたいから参加したいというのもよし。それぞれの「認知症カフェ」が工夫をこらした運営をしているので、いろんな「認知症カフェ」に行ってみるのも良いですね。
日本は超高齢社会を迎えていますが、今後もますます高齢者の人口が増えます。それに伴って、認知症になる人も増加し、2025年には700万人を超える見込みです。認知症は今のところ完全な予防方法はなく、誰にとっても身近なもの。認知症になっても安心して暮らせる地域づくりのために「認知症カフェ」は開催されています。みなさんがコーヒーを1杯飲みながら過ごすことで、みなさん自身の認知症についての知識向上と、困った時のネットワークづくりができるとともに、住みやすい地域づくりにも貢献できるのが「認知症カフェ」。ぜひ、お近くで開催されているのを見かけたら入ってみてください。認知症カフェの開催情報は、お住まいの地域の地域包括支援センターへお問い合わせください。
(社会福祉士 森保純子)
◆厚生労働省:認知症カフェ実施状況
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000116743.pdf