独居の親が心配で…まずは地域包括支援センターに相談を

 「県外で一人暮らしの母は足腰が痛いと言うことが増え、最近はどうも物忘れが進んできているようだ」と、知人から相談を受けました。以前は介護保険を使っていたこともありましたが、それも少し前に断ってしまい、今はどうなっているかわからないとのこと。遠方で、しばしば様子を見に行くのは困難だからこそ、余計に心配で、今後どうしたらいいのだろうか-という内容でした。

 このように遠方で独居の親が心配という話は、現代では珍しいことではありません。進学等で実家を離れ、そのまま就職し結婚し家を持ち、実家にたまに帰省するという人は多いのではないでしょうか。平成28年版高齢社会白書(※1)によると、65歳以上の者がいる世帯は増加しています。この中で、昭和55(1980)年には全体の半数を三世代世帯が占めていましたが、平成26(2014)年では高齢者の独居または高齢者夫婦のみの世帯が半数を超えています。

 ところで、上記の相談について、いくつか提案をしました。まず、お母さまに介護保険サービスを使っているかどうかの確認をすること、その際には「ケアマネジャー(通称ケアマネさん)は来ているか?介護保険証の記載事項を読み上げてもらえるか?」と確認してもらいました。しかし、それではよく分からなかったため、お母さまのご自宅があるエリアの地域包括支援センターに相談をしてもらうことにしました。その際、遠方に住んでいて頻繁には訪問できないこと、母親との電話では生活は大丈夫というけれど心配なこと、物忘れが進んでいると感じる具体的な状況を、地域包括支援センターに伝えてもらいました。同時に、介護保険の利用状況を確認してもらい、必要な説明と手続きをしてもらいたいことを伝えてもらいました。その後、お母さまにも電話をして、介護保険の相談を地域包括支援センターにしているので、職員が家に来てくれるということを伝えていただきました。

 数日後、相談の電話をかけた地域包括支援センターの相談員は知人の話をしっかり聞いてくれ、お母さまの元を訪問してくれたと聞きました。そして、介護保険の手続きの段取りもしてもらえたとのこと。ちょうど更新時期でしたが、お母さまはその手続きのことは分からず放置されそうになっていたとのことで、良いタイミングだったようです。

 知人からは、近いうちに休みをとって実家に戻り地域包括支援センターを訪ねるとともに、担当になったケアマネジャーさんとも相談し、今後の心づもりをしておこうと思うと聞きました。「どうしようか。遠いし困ったな、心配だな、と長い間考えていたけれど、思い切って相談してよかった」と、ホッとした顔で笑っていた知人の姿が印象的です。なじみのない相談窓口に生活相談をするのは気が引けたり、本当に親身になってくれるのか不安がつきまとったりしますが、知人にとっては心強いつながりとなったようです。

 地域包括支援センターは、高齢者の保健・医療・介護・福祉など生活全般に関する相談窓口です。主任ケアマネジャー、保健師、社会福祉士の専門職が勤務し、個別の生活や介護の相談支援や、地域づくり活動を行っています。高齢の方が安全・安心して暮らせるよう、介護や病気、経済的なことがらについて総合的に相談ができ、とても便利な相談窓口です。無料で相談でき、守秘義務もあるので安心できます。

 家族・親族が集まりやすい年末年始は、健康や生活状態の確認、これからどんな生活をしたいかを話し合うのに良い機会です。居住エリアの地域包括支援センターの場所や連絡先をご存じない場合は、ぜひこの機会に、お住まいの市町村Webサイト等からご確認ください。(森のすず社会福祉士事務所 社会福祉士 森保純子)

※1 内閣府:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_2_1.html

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