意外と知らない「京都タワー」 昨年リニューアルで再び脚光
知ってそうで意外に知らない。そんな建物のひとつが京都タワー(京都市下京区)ではないだろうか。1964年の竣工以来、微妙な立ち位置ながらも古都のシンボルとして踏ん張り続けてきた。人気商業施設「京都タワーサンド」からVRバンジー、銭湯まで。古くて新しい京都タワーをくまなく歩いてみた。
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JR京都駅の北側、烏丸口を出ると独特の形をした白い塔が目に飛び込んでくる。ご存じ“古都のランドマーク”京都タワー。しかし、そのプロフィルは思ったほど知られていない。
高さ123メートル。無鉄骨の建物としてはいまでも世界一の高さを誇る。63年着工で翌年に完成した。形は「ロウソク」をイメージしたものではなく「海のない京都の街を照らす灯台」とのことだ。
台座部分は大きく分けるとホテルと商業施設。当初は京都の主要な企業と京都市が合同出資していたが、現在は京阪ホテルズ&リゾーツが運営している。
建設前から賛否両論があり、微妙な立ち位置のまま。そのせいでもあるまいが、京都駅構内に京都タワーの案内掲示板がいまだにないのは、いかがなものか。
しかし、2017年4月にリニューアルを終え、再び脚光を浴びるようになった。その中心的な役割を担っているのが商業施設「京都タワーサンド」だ。地下1階が飲食フロア、1階が物販、2階は京都銘菓「おたべ」などの体験コーナーがある。
3層構造だからサンドかと思いきや、館長の渡辺恭平さん(30)によれば「京都の玄関口なのにシンボルマークの足元がさみしいと言われてました。だから3度と言わず何度も来てほしいという願いと、ここが京都観光の参道として出発点、帰着点になるようにという思いを込めてます」とのことだった。
“これまでにない・これからの京都”というコンセプトだけあって、入居している飲食店、土産物店55店舗の9割近くが新規出店。スタッフが京都市内を駆け回り、800店の中から絞り込んでおり、他店とはひと味違う。
「新たなにぎわいをつくるため、地元の人が愛しているようなもの、隠れた名店に出店していただきました。京都通も“おっ”というものばかりです」
さらに、新しいモノとしては10月からスタートしたVRバンジー(12月24日まで、700円)だ。京都タワー展望室(11階)から超リアルな仮想体験をしてもらおうというもの。多い日は1日300人を超えるといい、実際に体験した大阪市の小松一郎さん(58)は「VRバンジーは初めてでしたが、想像以上に楽しかった。マカオでもやろうと思ったが、お金が高くて。高いところは平気やねんけど」と話してくれた。
その一方で開業以来変わらないのが地下3階にある銭湯「京都タワー大浴場~YUU~」だ。スタッフによると「夜行バスの利用者が多い朝の7時から9時が一番混み合いますね」とのことだった。
「午前中に観光地を回り、ひとっ風呂浴びて、昼からビールというのもアリでは?」と提案してくれたのが渡辺さん。その話、乗った。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)