猫の多頭飼い、何匹までできる?獣医師の見解は…

 猫を飼っていると、1匹だけでお留守番させるのはかわいそうとか、遊び相手がいた方がいいんじゃないかと思われることがあるのではないでしょうか。かわいいから多頭飼いしたいという方もいるでしょう。では、猫は何匹まで飼うことができるのでしょうか。猫の生態に詳しいHappy Tabby Clinicの橋本恵莉子獣医師にお伺いしました。

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 -猫は何匹まで多頭飼育できるのでしょう。

 「猫の場合、グルーミングやシャンプーをしたり、散歩をしたりする必要はありません。しかし、ご飯をちゃんと食べているか、排せつは正常にできているかなど、健康管理のために毎日状態を観察し、管理しなければなりません」

 「多頭飼いだと、トイレに下痢がしてあっても、どの子のものなのか分からなくなってしまうことがあります。そうなると、飼育はできても、体調管理がおろそかになるということが起こりえます。明らかに様子がおかしくなる前に気づいてあげられる、それが飼育頭数の目安です」

 -1匹ごとに専用のトイレが必要なのでしょうか。

 「そうですね。トイレの場合、猫の頭数プラス1個以上のトイレを設置するのが望ましいです。一つしかトイレがない場合、そこに便が放置してあると、排せつを我慢してしまうことがあります。複数のトイレを置くスペースも必要ですね。猫によって猫砂の細かさなど好みが違うので、猫に合わせて猫砂を用意してあげるといいでしょう」

 -猫の縄張りへの配慮は必要ですか。

 「トイレとご飯を食べるスペース、寝るところは、それぞれ50センチ以上離さなければいけません。放し飼いで、かつ多頭飼いをしている場合、他の猫との間隔が1~3メートル(1・8平方メートル)以上必要でしょう。猫同士の相性もありますし、猫だってケンカすることもあります。放し飼いにした場合、たとえ相性が悪くても逃げ場があるので、猫のストレスを軽減ができます。そのため、ゆったり放し飼いできるスペースが必要です。ケージ飼いは、ストレスになるのでやめておきましょう」

 -多頭飼育に関する条例はあるのでしょうか。

 「犬や猫を一定の頭数以上飼う場合、届け出を義務付けている自治体もあります。大阪府の場合は、2016年7月1日から10匹以上飼育する場合、府に届け出を義務付けています。10匹以上になった日から30日以内に届け出ない場合や、虚偽の届け出をした場合は、5万円以上の過料が科せられます。一方、東京都や兵庫県、京都府では特に具体的な頭数の制限や罰則がなく、自治体によってばらつきがあるのが現状です」

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 多頭飼いできる頭数は、飼い主の目が行き届くのか、病気になったら早期発見できるのか、猫がストレスなく暮らせるスペースを確保できるのかなど、さまざまな要素で決まるのですね。無理のない範囲で、多頭飼いを楽しみましょう。(神戸新聞特約記者・渡辺陽)

◆渡辺陽(わたなべ・あきら)大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。フェースブック(https://www.facebook.com/writer.youwatanabe)

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