SNS駆使で「お寺に関心を」 “バズる”門前掲示板「NOご先祖,NO LIFE」

龍岸寺住職の池口龍法さん。掲示板の前で立ち止まって写真を撮る人も多い
バズるきっかけとなった掲示板の言葉
浄土系アイドル「てら*ぱるむす」のライブ
3枚

 皆さんもお寺の門前掲示板を目にしたことがあるだろう。何やら仏様のありがたい言葉が書かれているようだが、じっくり読む人はそれほどいなかったかもしれない。ところが今、そんな「お寺の掲示板」がSNSで話題になっている。

 気になった掲示板を写真で投稿する「輝け!お寺の掲示板大賞」という企画が存在するほどで、中でも注目が浄土宗龍岸寺(京都市下京区)。某レコード店のキャッチコピー「NO MUSIC,NO LIFE」をもじった「NOご先祖,NO LIFE」や「過去を悔やむなかれ 未来を願うなかれ いまを生き抜け 仏道はロックだ」など、思わず立ち止まって写真を撮りたくなるような言葉が書かれている。

 この掲示板の“作者”は同寺の住職・池口龍法さん(38)。きっかけは「ポケモンGO」が配信された2016年夏だった。同寺もゲームのアイテムを入手できる「ポケストップ」となったため、連日たくさんの人が集まるように。それを見た住職は掲示板にこう書いてツイートした。

 「確かにここはポケスポットですが むしろ四百年来の念仏のホットスポットです 合掌し念仏してからスマホを操作しましょう」

 この投稿がなんと6千リツイートを突破。それから住職は「バズる(インターネット上で話題になる)言葉」を意識して掲示板を書くようになった。

 「本来、門前掲示板は仏教の教えやありがたい言葉を檀家さんや道行く人に伝えるものですが、バズる言葉を書くことで、もっとたくさんの人がお寺に関心を持ってくれると考えています」

 住職は現代人の「仏教離れ」を危惧しており、これまでも「お寺に関心を持ってもらうため」の活動を行ってきた。09年8月にフリーペーパー「フリースタイルな僧侶たち」を創刊し、代表に就任(現在は交代)。念仏フェス「十夜祭」「超十夜祭」の開催や浄土系アイドル「てら*ぱるむす」の運営に携わるなど、現代にふさわしい方法でお寺に人を集めてきた。しかし、それは「寺を守らなければならない」という義務感よりも、「自分が楽しいものを一緒に楽しんでくれる“道連れ”を探している感覚」だと言う。

 知恩院(京都市東山区)の編集主幹も務めており、紅葉のライトアップ期間に「お坊さんのはなし」を聞く企画を立ち上げたりPR動画を公開するなど、あの手この手でお寺をプロデュース。「仏教は面白くて深みのあるもの。それを伝えたいし、お寺に来ることで元気になってくれたらうれしい」と語る。

 お寺の前を通ったら、ぜひ門前掲示板に注目を。少しでも興味が出たなら、肩肘はらないイベントから参加してみてはいかがだろうか?イベントスケジュールは龍岸寺HPで。http://ryuganji.jp(デイリースポーツ特約記者・山王かおり)

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