「あみだくじ」実は不公平!?知っている人だけが得をする引き方は
プレゼントの交換や席順決めなどで、くじ引きをする機会が増える年末年始。特に多くの人が手軽に参加できる「あみだくじ」は定番ですよね!しかし、このあみだくじ、選ぶ場所によって当たりやすさが違い、方法によっては公平とはいえない代物なんです。知っていると得をするかもしれない、くじの不思議について、専門家に聞いてきました。
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何度となく運命をあの縦線・横線に託してきたのに、今さら「あみだくじは公平でない」といわれても…。多くの人がそうかもしれませんが、私はにわかに信じられません…。
「そうですよね。しかし、そんなときは、実証あるのみです。実際に確かめてみましょう」と話すのは、淑徳大学特任教授の五十嵐一博さん。教員を志す学生を指導する傍ら、大人向けに数学の面白さを伝える活動をされています。
先生が見せてくれたのは、下記のようなあみだくじです。
・縦線は3本、横線は3本
・真ん中が隠されていて、横線3本は見えないようになっている
・当たりの場所は見えていて、一番右端の線の下が当たりになっている
「あなたなら、『左』『中』『右』の3つの出発点から、どこを選びますか?」
うーん、どれでしょう。どこを選んでも同じだと思いますけど…。
「このあみだくじで横線がどのように引けるのか、考えられるパターンをすべてあげると8通りになります。8つのくじすべてを解いてみると、どうなりますか?」
…「左」からは2通り、「中」と「右」からは3通りが当たりにたどり着きました。それぞれの出発点が当たりとなる確率は…
・「左」8分の2
・「中」8分の3
・「右」8分の3
あ!嘘みたい!「左」の確率が低くなってしまっています!
「そうなんです。出発点によって当たる確率が異なることが分かると思います」
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一般的に、当たりが見えているあみだくじでは、当たりの真上が、当せん確率が一番高くなるといわれています。逆に当たりの場所から左右に離れていくほど、当せん確率は下がります。当たる確率をグラフに描くと、当たりの場所が一番高い山のようなかたちになるそうです。
無限に縦線が多くあるようなあみだくじは、パターンが非常に多くなるため、一つ一つ図を描いて実証することは困難ですが、「コンピューターでシミュレーションされた内容を調べた範囲内では、間違いありません」と五十嵐さん。
しかし…。真実が明らかになった今現在も、日本のどこかで何も知らない人々があみだくじにこうじているわけです。はたして公平にあみだくじをする方法はあるのでしょうか。
「くじを選ぶ人全員が、当たりの場所が分からない状態であればいいのです。その場合、全員の当せん確率は同じになります」
…なるほど!
「当たりの場所を決めることを含めて、くじの作成は、くじを引かない部外者の人にお願いしたほうがいいですね。もちろん、くじを引くときも、横線や当たりの場所が見えないように隠しておくことが大切です」
ちなみに、このあみだくじの問題。ある中学校2年生の数学教科書別冊に、自由研究のネタとして紹介されているのだそうです。最近の中学生は、こんな世界の「真理」を発見するようなことを日々学んでいるのですね…。心から驚きです。
運を試す機会がますます増えてくる年末年始です。あみだくじの不思議を知ったこともなにかの縁です。ぜひ数学の力を味方にして、乗り切っていきましょう!(神戸新聞・川上隆宏)