道具が手に入らない…キューバの野球少年の現実 日本の高校球児が“サンタ”になった
少し古びた球場のスタンドから、キューバ遠征中のU-17東京都選抜の練習風景を食いつくように見つめる地元少年たちがいた。きっと、すごく野球が好きなのだろう。目が合ったので話しかけてみたが、ショッキングな反応が返ってきた。
「グローブとかボールちょうだい!お兄ちゃんたちが使っているやつ、もらってきてよ。僕のは壊れちゃったんだ」
ここは社会主義の国キューバ。今もまだ配給生活が続く。野球道具を手に入れるには、親が海外で買ってくるか(平均月収20ドルとされるキューバでは他国への渡航も厳しい気がするが)、海外で大量に買い付けた用具を倍の値段で販売するビジネスをしている人から購入するかの2択だ、とキューバ人は言う。そう簡単には手に入らない代物だ。
スペインでも同じようなケースが聞かれる。サッカーの国ではあるが、街中のスポーツショップには、もちろん野球グッズもある。端の方にこそっと、見逃してしまいそうなところに。聞くと、チームの監督やコーチがアメリカの通販でまとめ買いをするか、もしくは日本でいうメルカリなどのフリマアプリで中古品を購入するのが一般的のようだ。キューバ同様、海外渡航時の購入もあるそうだ。
冒頭のキューバの話に戻る。例えば日本でも野球少年たちがプロ野球選手に対して、同じような発言をする。不自然なことでなく、選手はそれに応え、一生の宝をゲットした少年たちは目をキラキラ輝かせる。素敵な光景だ、といつも思っていた。しかしキューバとなると、少しニュアンスが変わってくるような気がする。日本とは全く環境が違う。物がない、お金が自由に使えない。どう頑張っても手に入らない。彼らにとって私たち日本人は救いの神に見えたのかもしれない。
そんなキューバの子供たちに、都高野連からのビッグサプライズが待っていた。今回U-17東京都選抜がキューバ遠征で使用した野球道具が、キューバ野球連盟に寄付されるのだ。ボール480個、バット約60本、ヘルメット20個、キャッチャー防具3セットなど、大荷物を抱えてキューバへと乗り込んできた。武井克時専務理事によると、キャッチャー防具は寄付するために、「キューバの色を意識して赤色を基調に作った」という。
これらは全てキューバ野球連盟がそれぞれの地域やチームへ分配していくそう。あの少年たちの元にも“クリスマスプレゼント”が届くことを願うばかりだ。(デイリースポーツ特約記者・鈴木エレナ)
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