今夜は徹夜!そう決めた時にするべきこと…上手な仮眠の取り方は?

 睡眠や休養を取ることが健康にいいと分かっていても、仕事など、人にはどうしても無理をしなければならない「踏ん張り時」があります。かといって、朝まで一睡もせずに仕事をしても作業効率は落ちるばかり。実は、パフォーマンスを上げる秘訣があるのです。快眠セラピストの三橋美穂さんに教えていただきました。

  ◇  ◇

 -徹夜しなければいけないほど忙しいと、一睡もしない覚悟をしないといけないのでしょうか。

 「一睡もしないというのは逆効果です。いったん仮眠を取って、脳の機能を回復させましょう。人は、眠ることで大脳の働きを回復させることができるのです。しかし、一睡もせずに無理して仕事をしても、効率は落ちるばかり。結局、無駄に時間がかかってしまいます。

 人は、起床後17時間後になると、血中アルコール濃度0・05%と同程度まで作業効率が低下します。血中アルコール濃度0・05%は、日本酒1合を飲んだのと同じくらいの状態で、交通事故を起こす可能性は、通常の2倍になると考えられています。そのようなほろ酔い状態で、てきぱき効率よく仕事をこなせるはずがありません。いったん仮眠を取って脳を休めましょう」

 -仮眠は、どのように取ればいいのでしょうか。

 「朝6時に起床した場合、23時頃に眠たくなってきます。つまり、脳はほろ酔い状態。その眠気に抵抗することなく、90分くらい眠りましょう。ただ、この時、部屋を暗くして、ベッドに入って横になると起きられなくなってしまいます。仮眠なので、深く眠るのに快適な環境は好ましくないのです。ソファなどに横になり、照明はつけたままアイマスクをしたり、ハンカチを目の上にかけたりして、目に入る光の量を減らします。アラームをかけて90分眠り、起きたら、背伸びをしてストレッチする、冷たい風にあたるなどして、すっきり目を覚まします。再び眠気が襲ってきたら、椅子に腰掛けたまま15分ほど眠りましょう。脳が疲れて眠くなってきたら、無理をしないで仮眠を取る。それが効率よく仕事をするための徹夜の秘訣です」

 -コーヒーで眠気を吹き飛ばすのはだめなのでしょうか。

 「カフェインでは、脳の疲れを取ることはできません。眠りに誘う睡眠物質が睡眠中枢に働きかけるのをブロックするだけなのです。カフェインを摂取すると、本当は疲れていて眠いのに、疲れていない、眠たくないと思ってしまいます。これでは、無理して徹夜をしても、思うように仕事をこなせません。徹夜をすると決めた時は、上手に仮眠を取りましょう」

  ◇  ◇

 仮眠を取りながら徹夜で仕事をする。それはひとつの手段ではありますが、せいぜい月に1度くらいにとどめます。何日も続けていたら体を壊して過労死してしまう危険も伴います。どうしても無理をしなければならない時の窮余の策だとお考えください。(神戸新聞特約記者・渡辺陽)

◆三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでの20年間に、1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、特に枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うか分かるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100』(かんき出版)『CDを聞いて ゆったり深~く眠れる本』(PHP研究所)ほか多数。http://sleepeace.com/

◆渡辺陽(わたなべ・あきら)大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。フェースブック(https://www.facebook.com/writer.youwatanabe)

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