カジノディーラーに定年なし 就職先として注目!5年後には6000人雇用も
特定複合観光施設区域整備法案(カジノ実施法案)の成立で、大阪万博開催の2025年までに日本でカジノが稼働するとみられている。そこで気になるのが現場で働く人たちだ。数千人規模の需要が見込まれる「カジノディーラー」が、5~6年先を見越して若者の就職先や中高年世代の再雇用先として注目され始めているというのだ。生の声を交えて現状をリポートする。
19年の年明け、日本初のカジノディーラー専門養成機関として04年に開校した「日本カジノスクール」の東京校を訪れた。700人を超える卒業生のうち、100人以上が海外のカジノで活躍。同校の大岩根成悦校長は「最も多いのがシンガポール。日本人のお客様が来るところに日本人のディーラーが必要ですので」と説明した。
その日本にカジノができた場合の雇用はどうなるのだろう。
大岩根校長は「24時間営業のカジノでは1か所にディーラーが2000人必要です。その中でディーラーを管理するスーパーバイザーが約3分の1で600人くらい、その上のピットマネージャーは半分の約300人です」と解説。日本のカジノは3か所になるので、ディーラーの総数は約6000人。スーパーバイザーなどの肩書を持つ管理職には一部で外国人が入る可能性もあるが、ディーラーは海外でもほぼ「自国民」ということで、フロアに入れる労働許可を目指す日本人の志望者が増えている。
受講生に聞いた。九州の大学に通う22歳の女子大生は今年1月から短期集中3カ月コースで東京校に“カジノ留学”。「昨年末までに大学の単位を取り終え、東京での3か月の滞在費はバイトして貯めました」。週4回の通学で1年分のカリキュラムを修了。卒業後の4月からゴルフ場に就職するが、2年後にはカナダのカジノで経験を積みたいという。
「ワーキングホリデー先のオーストラリアで初めてカジノに行って、すごくキラキラした所に憧れを持ちました。エンターテインメント性があって、お客様に喜ばれる所がいいと思います」。大阪万博の25年には29歳の働き盛り。「学校ではホスピタリティーやカジノ文化、英会話、ゲームの技術を教えてもらいます。絶対、ディーラーになると決めています。海外でも、日本でもやってみたい」。彼女はルーレットに球を投げ入れながら、「指先の動きが難しいですね。早くできるようになりたい」と屈託のない笑顔を見せた。
大岩根校長は「これから入学される生徒さんは圧倒的に日本での活躍を目指している。将来性があるからです。若い方は4~5年後を見据えて動かれる。40代の方は今の職業から転職したいということで入学される。ディーラーには定年退職がないですから。日本の企業で定年退職した人はパートで週に1~2日でも仕事がしたいと入学される。70代の方もいらっしゃいます。手に職を付けたいと。年代によって目的は違います」と解説した。
24年度までにはカジノでの労働許可を整える必要もある。同校長は「まだ5年先と思っていても、あっという間に来ますから」。待ったなしで日本にカジノがやってくる。(デイリースポーツ・北村泰介)