西宮神社「福男選び」がレゴになった!あの興奮を「精巧に」再現
福を求める男たちが参拝一番乗りを目指して神社境内を激走する、西宮神社の「福男選び」が、今年も10日朝に行われました。この神事の様子をレゴブロックで再現した作品が、阪急梅田駅に併設された商業施設・阪急三番街の「HANKYU BRICK MUSEUM」に展示されています。大量の男の人が慌ただしくダッシュするシーンばかり印象に残るイベントですが、ブロックで精巧につくられた作品を見ると「こんなところを、こんなふうに走っていたのか!」と発見することがいっぱい!レゴをつかった表現の面白さとともに、あらためて神事の奥深さを見つめられます。
西宮神社は商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社。「福男選び」は、例年100万人以上の人出でにぎわう十日えびすにあわせて行われる神事です。今年は約5000人が集結。夜明け前の午前6時、開門の合図とともに、待ち構えていた男女が一斉に飛び出し、約230メートル先の拝殿まで境内を駆け抜けました。
神事をもしたレゴブロックの作品は、縦1・2メートル、横2メートル、高さ40センチの大きさ。日本人で唯一、レゴ認定のプロビルダーに選ばれた三井淳平さんが手がけました。3万ピースのブロックをつかい、250時間かけてつくられているそうです。
「コースのポイントとして、直角に曲がるところを『天秤カーブ』、勢いあまってぶつかりやすい木を『審判の楠』と名付けていますが、それらがしっかりと再現されています!」と興奮気味に話すのは、神事を運営する開門神事講社で、講長をつとめる平尾亮さん。実際、阪急三番街まで足を運んで作品を見に行かれたことがあるそう。
「コースを間違って走っている人、勢いがつきすぎて転んでいる人…。参加者の動きをよく見てつくられていると思います。まるでコマ送りで見ているかのような印象を受けました」
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制作した三井さんにお話を聞くことができました。
-「福男選び」をテーマに作品をつくられたのはなぜですか。
「私自身、兵庫出身のため福男神事にはなじみがありました。レゴのミニフィグ(人形)が走る姿がかわいらしくて好きなので、作品テーマにもぴったりだと思い制作しました」
-作成されるにあたり、特にこだわったところはどこですか。
「本殿はどの角度から見てもそれらしく見えるように屋根の裏側まで作り込んで、時間をかけて制作しました。また、コースの途中から石畳になるのが福男選びの特徴ですが、石畳一つに10ピースほど使用して細かい模様を再現しています。ミニフィグは25人ずつ4か所に分けて並べており、絵巻物のように時系列に従って右から左へとストーリーが進んでいきます。4コマ漫画のように各シーンでこけている人がいたり、順位が入れ替わっていたりドラマを演出して、福男神事の雰囲気を表現してみました」
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HANKYU BRICK MUSEUMには、こちらの作品をふくめて、三井さんが手がけた5つのレゴ作品が置かれています。そのほかの作品も「宝塚大劇場」「箕面の滝」など、阪急・阪神の鉄道沿線の風物や町並みをモチーフにした興味深いものばかり。ぜひお出かけにあわせて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。(神戸新聞・川上隆宏)