カジノ招致レース3か所の行方 本命・大阪、対抗・関東圏、意外な穴場は…
早ければ2021年度には決まるという日本のカジノ3か所はどこになるのだろうか。特定複合観光施設区域整備法案(カジノ実施法案)の成立を受け、既に大阪、長崎、北海道、和歌山が、カジノを含む宿泊や展示場施設などを備えた統合型リゾート(IR)の区域整備計画を国に申請する予定と報じられている。その見通しを専門家に聞いてみた。
「業界的に100%、一番乗りだろうとみられているのが大阪。もともと府知事と大阪市長が一致団結して動いていることで有力視されており、昨年11月に25年の大阪万博誘致が決定したことが追い風になっています」
そう語るのは、04年に日本初のカジノディーラー専門養成機関「日本カジノスクール」を開校した大岩根成悦校長。豪華客船のカジノディーラーとして世界を巡りながら経験を積み、04年には元東京都知事の猪瀬直樹氏に次いで2人目の「カジノオブザイヤー」を受賞。資格認定試験を実施する「日本カジノディーラーズ協会」の専務理事や地方自治体のカジノ委員を務め、メディアでも啓蒙活動を続ける第一人者だ。
日本カジノスクールは18年4月に大阪校を開校。体験入学参加者が東京校と同じ154人の延べ308人となり、17年の約2・5倍に。大岩根校長は「大阪が非常に熱を帯びているということが言える。万博決定を受け、大阪にもう1か所、教室を増設しようと考えています」と明かし、「東京校の平均年齢は20代後半ですが、大阪校は30代半ばと年齢層が高い」という。転職を考える層がより多いという見方もできる。
残り2か所は?
まず北海道だが、苫小牧市、釧路市、留寿都村の3候補地のうち、高橋はるみ知事は「苫小牧に優位性がある」という認識を示した。大岩根校長は「年末の時点では苫小牧であろうと。ところが、知事が国政に出るので、新しい知事によってはカジノに手を挙げるかどうか分からない。まだ見えてきません」。高橋氏が今春の道知事選出馬を見送り、今夏の参院選立候補を決めたことで流動的になっていると指摘した。
“穴場”になりそうなのが和歌山だという。同校長は「和歌山は関西国際空港にも近く、大阪とセットでIR誘致を打ち出しており、(近畿圏で)大阪と和歌山が入る可能性もゼロではなくなってきた」と分析。また、関係者の間では自民党・二階俊博幹事長の地元である点も後押しになるという見方もある。
気になるのは関東の地名がないことだが、大岩根校長は「横浜、千葉、東京のどこかが必ず手を挙げると思います。関東圏のどこか1か所と大阪、そして地方の1か所ということで落ち着くのではないかと見ています」と明言。現時点で「◎大阪、〇関東圏のどこか、▲和歌山」という予想が浮上してくる。
では首都のカジノはどうなるか。東京五輪後、会場跡地を有効活用できないのだろうか。同校長は「IRを作る場合には最低でも40ヘクタールくらいが必要ですので、五輪の跡地では難しいという気はします」としつつ、東京ならば「お台場の湾岸地区であることは間違いない」と見解を示した。
21年度に向け、誘致レースは進んでいく。(デイリースポーツ・北村泰介)