1・13は「遺言の意味を考える日」遺言書の何が変わる?相続争いを避ける方法とは
2019年から1月13日が「遺言の意味を考える日」になったことをご存じだろうか。昨年11月に日本記念日協会により登録された。遺言は「ゆいごん」と共に「いごん」とも読まれるため、「1(いごん)の13(いみ)」というわけだ。そして、この日から、遺言書の方式において、重要な法改正がスタートする。その詳細を専門家に聞いた。
「遺言の意味を考える日」を前に、一般社団法人「えがお相続相談室」主催の「相続勉強会」が都内で初開催された。第1回のテーマは「相続法改正で変わる自筆証書遺言」。これまで財産目録や預金通帳といった添付資料的な内容まで、すべて自筆で手書きしなければならなかったのだが、「1・13」以降、目録はパソコンで作成して印刷したもの、預金通帳はコピーの添付でも認められる。
同相談室の顧問で司法書士の高橋朋宏氏はデイリースポーツの取材に対して「(これまでは)登記簿謄本から(必要事項を)抽出する作業が『この中から何を書かねばならないのか?』と難しかった」と指摘しつつ、「ただ、自筆でなくなる分、パソコンで作成して印刷した目録や通帳のコピーには署名捺印が必要となります。それで偽造も防止できます」と付け加えた。
つまり、従来は遺言書とつながる手書きの書類一式として、まとめて1か所に署名捺印をしていたが、今後、印刷やコピーを「別紙添付」する場合は、第三者による偽造を防ぐために本人の署名捺印が複数分必要となる。
遺言書には、ここまで説明してきた「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」の2種類がある。自筆のデメリットについて、同相談室所属の行政書士・横倉肇氏は「自分で保管しなければならないので、紛失のほか、(自分にとって不利と感じた)相続人による廃棄や隠匿、改ざんのおそれがある」と指摘。だが、この点に関しては来年7月10日から法務局で保管できるように法改正される。
また7月1日から、被相続人以外の親族が金銭の支払いを要求できる法改正もなされる。例えば、長男(故人)の妻がどれだけ義父や義母の介護に尽くしても、相続財産の分配にあずかれなかったケースが解消される。
といった具合に、19年は「遺言の意味」について考えさせられる年となる。その意味について、横倉氏は「作った人の思いを伝え、争いを未然に防ぐ効果がある」と指摘する。
有名人の莫大な遺産相続をめぐって、きょうだい、後妻といった親族による“骨肉の争い”が何度も報じられてきたが、庶民にとっても金額の多寡は別にしても悩ましい問題だ。遺言を残した人の死後、もめないためのポイントになるのは?
横倉氏は「付言事項」だという。「これからの家族にどうあってほしいか、なぜこのような遺言の内容にしたかなど、思いを書き連ねることです。相続で争わないためにも、遺言を作った本人と家族とが生前から意思疎通をしておくこと。できれば生前からオープンにしておくことが、遺言書を円満に相続に向かわせるために大事です」と説明した。(デイリースポーツ・北村泰介)