華道家元「池坊」×日本橋三越本店がコラボの理由 20年東京五輪に向け「おもてなし」

 華道家元池坊(本部・京都市中京区)と日本橋三越本店がタッグを組んだ大作いけばな「池坊2019年の花」が、同所で披露されて話題を呼んでいる。展示は1月22日まで。2020年東京五輪に向けた「華道でおもてなし活動」の一環として実現したものだ。

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 新春らしい華やかな演出に、ご婦人方も思わず足を止める。話題の生け花が展示されているのは日本橋三越本店の玄関、1階ライオン口と地下1階銀座線口の2カ所。作品は海外での普及活動にも尽力している池坊華道会教学委員の倉田克史によるもので「生成流転」「飛瀑臨々」の2点だ。

 「三越さんとはこれまで作品の展示会などを開いたことはありますが、このような形でお正月にお披露目するのは初めてです。新年らしい、おめでたいイメージとともに華道の中にある生きものの、生まれては移ろいいくものをテーマにもしています」と池坊側。「もちろん、モダンな印象の三越さんに合うようにステンレスの器を使うなどスタイリッシュで親しみやすい作品になっています」

 池坊側にとって今回のコラボは2020年「東京五輪」を文化の力で盛り上げることを目的にした取り組み「華道でおもてなし活動」の一環。今後も華道の魅力を伝えながら東京の企業や団体、店舗などに呼びかけ、日本文化でおもてなしをする空間を広げていく方針だ。

 一方、昨年10月24日にグランドオープンした日本橋三越本店側にとっても1673年の越後屋創業以来受け継がれている「お客様のために」という理念をよりいっそうPRしていく新たなスタートラインともなった。

 「新年を迎えるにあたって、日本らしい、日本橋らしいことは何かを考えた結果です」とは三越側。生け花の展示は「おもてなし」の心をひとつの形にしたもので今後もさらに発展させていく。すでに、その動きは始まっており、1階の吹き抜けにある天女像(まごころ像)の一角に「レセプション」を設置。顧客に満足のいくおもてなしとサービスを提供するため、「コンシェルジュ」と呼ばれる経験豊富で専門的な知識を持ったスタッフ90人を各フロアに配置している。

 例えば「クルーズ旅行に出掛ける場合」「パーティーを開く場合」「叙勲などで皇居に招かれた場合」などトータルでコーディネートするサービス。一生ないような気もするが、まさかのときにはぜひどうぞ。

 さらに、超老舗ならではの「歴史&アート探訪ツアー」もあり、ふだんは立ち入れない2階のバルコニーからパイプオルガンや天女像の裏側を間近で見たり、大理石に埋まったアンモナイトの化石なども探検できる。

 華道の魅力を感じつつ、生まれ変わった日本橋三越本店のおもてなしの心に触れてみてはいかがだろうか。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)

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