男性長寿日本一で注目の食文化 滋賀の郷土料理「じゅんじゅん」とは
本格的な鍋のシーズンが訪れた。平成27年の男性長寿日本一(厚労省発表)に輝いた滋賀県では、県内の食材や食文化が改めて見直されており、そのひとつが郷土料理「じゅんじゅん」だ。JR近江今津駅が最寄りの「今津サンブリッジホテル」(高島市)で“熱々”のじゅんじゅんを味わってみた。
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うっすらと雪化粧した伊吹山を遠くに眺めながら琵琶湖湖畔にたたずむ「今津サンブリッジホテル」の日本料理「葦海」で郷土料理をいただいた。あまり聞き慣れない名前。その「じゅんじゅん」は琵琶湖で獲れたうなぎ、いさざ、鮎などの魚や牛肉、鶏肉などをすき焼き風に甘辛く味付けした鍋料理。永田久弥支配人によると「主に漁師町で食べられていたもの」だそうで諸説ある中、食材を鍋で煮るときの音が「じゅんじゅん」と聞こえたことからこの名前がついたと言われる。
県内一帯の各料理店のメニューにあるものの食材は様々。ここ「サンブリッジホテル」では「近江牛と鰻のじゅんじゅん鍋膳」(税込み5900円)を提供している。「人気の鰻と近江牛をひとつにしました」とは永田さん。琵琶湖が見渡せる個室で実際にいただいたが、なんという贅沢。なるほど、これは精がつきそうだ。
さらに、マスと鯉のお造りもつき、これがまた歯ごたえあって、美味。醤油で食べるのもいいが、これに地元の「淡海酢」と日本棚田100選にも選ばれた高島の米からできた味噌を合わせた酢味噌でいただくと、2度おいしい。
もちろん、湖西地方の高島の魅力はこれだけではなかった。織田信長、豊臣秀吉が駆け抜けた湖北、湖東に比べると派手な歴史の舞台にはなっていないものの、今津町は「琵琶湖周航の歌」の発祥の地。四季折々の自然に恵まれており、近くのマキノには全国の紅葉ランキング1位に輝いたメタセコイヤ並木、海津大崎の花見船も広く知られており、夏は湖水浴、冬は箱館山など4カ所でスキーが楽しめる。
永田さんによると人口4万8000人の町に酒蔵が5つもある。発酵食文化も根付いており、鮒寿し400年の喜多品老舗や遠藤周作からその名をもらった料亭「湖里庵」の鮒寿し懐石もお勧めだという。
これらすべては琵琶湖の恵み。男性長寿日本一の食文化は、今後も高い注目を集めそうだ。(デイリースポーツ特約記者・山本智行)
▼今津サンブリッジホテル 高島市今津町今津1689-2、JR「近江今津駅」より徒歩15分(近江今津駅より送迎あり)、電話番号0740(22)6666