大阪・北浜の透明ガラス瓶専門店兼ギャラリー 骨董硝子や古民家マニアも注目

 大阪・北浜は大勢のサラリーマンが行き交うビジネス街。また大正~昭和時代に建てられたレトロモダンな建物が数多く残る街だ。メインストリートの堺筋通りから西へ約100m入ったところに昨夏オープンしたのが、ガラス瓶専門店『CuteGlass Shop and Gallery』だ。

 通りに面した格子戸からさらに内玄関に一歩足を踏み入れると、表の喧騒がうそのような静謐(せいひつ)な店内。暗い内部を予想していたが、吹き抜けの天井から差し込む光で思いのほか明るい。目の前から奥にまっすぐ伸びる、ガラス玉が埋め込まれた三和土(たたき)と、その両脇に透明なガラス瓶。整然とした雰囲気に背筋が伸びる。

 ここは硝子瓶のメーカーである日本精工硝子(大阪市北区)の直営店。ひとつのシリーズで大小そろえた瓶や、ハートやクマなどキュートな形にデザインされた瓶が、一点数百円という価格で販売されている。

 「扱うガラス瓶は約120種類。ほかに当社の基礎化粧品の販売や、店舗の奥から入れる蔵の内部では、社長が長年収集してきた骨董ガラスを展示しています」と語るのは、日本精工硝子取締役の小西智香さん。「壁面に沿ってほんのりライトを当てると、手前のガラス瓶が美しく、くっきり際立って見えるんです」とガラスへの愛情もひとしおだ。

 ガラス瓶は三重県・伊賀の工場で制作。瓶の表面に波打つゆらぎは手作り感があり、眺めているだけで不思議な安心感がある。

 「ガラスの原料は、珪砂(けいしゃ)という砂で、オーストラリアのものを使っています。大変透明度の高い製品ができるからです」

 透明なガラス瓶は中のものがきれいに見えるからと、シンガポールやマレーシアなどの東南アジアで人気が高いという。植物標本「ハーバリウム」作りの講師が、まとめて買っていくこともあるそうだ。

 「このギャラリー兼ショップは、いま一度ガラスの良さを見直し味わっていただきたいという願いを込めてオープンしました。4年ほど前から生産を始めた、天然成分をたっぷり配合し保湿力も高い基礎化粧品は、当社で作るガラス瓶に詰めています。中身も外見も天然成分というわけです」

 また小西さんは「プラスチックと違い、ガラスは使い終わればリサイクルで再び新しいガラス製品に生まれ変わることができます。また色褪や変形もせず、割れない限り半永久的に残るもの。江戸時代に作られたガラス瓶が、国内はもちろん海外にも残っています。何より見た目が美しいです」と語る。

 3年前にリノベーションしたという店舗は、1925年(大正14年)に建てられた古民家。現在ではなかなか使われない貴重な建材や、戦争時の防空壕も残っている。随所に建築士の工夫も見られ、骨董硝子愛好家のほかに歴史や建築愛好家もよく訪れるという。(おふぃす・ともともライター 國松珠実)

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