「国際ロマンス詐欺」その非道な手口…あなたは大丈夫?【盗聴ハンター・八幡愛に聞く】
米軍人などを装ってSNSで知り合った女性ら3人から多額の現金をだまし取ったとして、千葉県などに住むナイジェリア人の男3人とカメルーン人の男1人が22日、詐欺容疑で逮捕されました。SNSなどで知り合った外国人が交際相手のように振る舞い、金銭をだまし取る手口は「国際ロマンス詐欺」と呼ばれ、被害が相次いでいるとされています。詐欺に合わないためどうすればよいのか、タレント活動とあわせて探偵業も行い、「盗聴ハンター」として活躍する八幡愛さんに聞きました。
◇ ◇
みなさんは、実際に会ったことのないSNS上の友達はいますか? 知らない人からメッセージが来て、あなたのことが好きだと熱烈にアピールされたらどうしますか?
先日、50代女性ら3人に外国の軍人を装い、恋愛感情を抱かせて現金をだまし取ったとして、ナイジェリア国籍の男ら4人が詐欺容疑で逮捕されました。国内外で問題となっている「国際ロマンス詐欺」。
犯人は様々なウソのストーリーを仕立て上げ、被害者からお金を引き出そうとします。例えば、日本に行くための旅費を送ってほしい、高額プレゼントを送ったけど関税で止められてしまったので取り戻すお金を送ってほしい、軍を除隊するためにお金が必要だ、など。中には、軍事司令官という第三者も登場させ、より巧妙なストーリーを描きます。
私はまず、この「国際ロマンス詐欺」という表現に違和感を持っています。
そこに「ロマンス」があると思ってお金を騙し取られた、しかも一度も会ったこともないのに送金した、被害者はなぜ気づかなかったのか!と、犯人よりも、騙された被害者への非難が多くなってしまうような気がするし、非現実的な話として受け取ってしまいます。そして「ロマンス詐欺だなんて、まさかそんな滑稽な詐欺に自分が引っかかるわけがない」と多くの人に感じさせるところに落とし穴があると思うのです。
さらに今回、国際ロマンス詐欺が大々的に報道された際には、高齢女性を狙ったものだと伝えられました。
しかし、被害届を出して表沙汰になったケースの被害者がたまたま高齢女性だっただけで、実際には、年齢や男女問わず、泣き寝入りしている方もたくさんいるのではないかと私は考えます。愛している人、結婚したい相手が困って自分を頼ってきたから助けたのに、それが詐欺だったとわかった時、ショックが大きく、事実を受け入れて被害届を出すまでのパワーは、もし私が被害者だったらきっと残っていないでしょう。
事実、私の知人男性は、婚活アプリでアメリカ人女性から猛烈なアプローチを受け、仲良くなってメッセージのやり取りをしていたある日、「事故にあって入院することになったけどお金がないので助けてほしい」と、全身大怪我をした本人の写真が送られてきたそうです。おかしいとすぐに気付いて先方にお断りをして縁を切ったそうですが、この類の詐欺は女性ばかりが狙われているというわけではないということです。それでも「自分には関係ない」と思う方がほとんどだと思います。
私がSNSを初めて利用したのは高校生の時でした。同じ趣味を持つ、会ったことがない“友だち”とのメッセージのやり取りにハマり、中には、恋愛感情に似たようなものも感じたことがあります。一度も会ったことがなくても信頼関係は築けていると思っていましたし、家族や周りの人に言えない悩みを話すことができたり、その世界にのめり込む要素がたくさんあったので、今回の被害者の気持ちが少しわかる分、心苦しいです。
国際ロマンス詐欺は、軍人になりすますパターンが多いようですが、他の職業でもありえるでしょうし、そもそも外国人ではないかもしれない-どこに危険が潜んでいるかはわかりません。これらの詐欺に合わないためには、相手が誰であろうと、理由がどうであれ、実際に会ったことのない人には絶対にお金を渡してはいけないと思います。
SNSで出会って幸せになるカップルもたくさんいるのは事実ですが、液晶画面を通してだけでは相手の本質はわかりません。老若男女問わず、非道な詐欺に騙されて、悔しい思いをする方が1人でも減りますように。
◆八幡愛(やはた・あい)兵庫県出身。関西を中心に活動するマルチタレント。FMラジオやインターネット番組にレギュラー出演する傍ら、テレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル 詐欺&盗聴の最新悪質手口徹底的にバラしてやるSP」などのテレビ番組で「盗聴ハンター」としても活躍中。2018年に犯罪防止や犯罪者の更生に寄与した人を表彰する作田明賞を最年少で受賞するなど、社会問題へ強い関心を持つ。公式Twitter:https://twitter.com/aiainstein