2019年の仮想通貨への「投資」は大丈夫?投資習慣のない人へFPが解説

 「仮想通貨は投資ではなくて、もっとギャンブル性の強い『投機』ではないのか」。2018年は仮想通貨の価格変動が大きな話題になりました。振り返ると、多くの「億り人」が生まれた一方、値動きを読み損ね資産活用の元本が無くなってしまった、という印象も強かったように感じます。

 そして、年が変わって沈静化した感もある2019年。暗号資産に名前も変わり、継続して所有する人、一度止めてしまった人のなかにも、これからどうするかを見極めている人も多いのではないでしょうか。2019年、これから仮想通貨はどうなっていくのかを考えます。

【1】FPから見た2018年仮想通貨狂想曲

 FPなど資産運用のアドバイザーとしては、2018年の仮想通貨はその価格変動性を何よりも顧客に伝えなければならないでしょう。値動きの上下は「価格変動幅(ボラティリティ)の高さ」としてメディアでも取り上げられてきました。そんななか、2018年1月には当時の相場で620億円相当のハッキングが発生し、国内最大の被害になりました。ともなって価格も変動し、2万ドル付近まで上昇していた仮想通貨の代表格であるビットコインは約半額まで急落、そのまま2018年の相場水準となりました。

 上場株に代表されるキャピタルゲイン(売買益)。仮想通貨も同じような種類の利益を生む投資対象と考えられていましたが、この値動きを見るに、いまは仮想通貨で売買益を期待するのはあまりにリスクが高いといえます。急に値を上げ、「もうちょっと上がるだろう」と静観していたら急に5分の1に値が下がる。これでは資産運用の対象として考えることはなかなか難しい。

【2】投資習慣のない人はこれからどう付き合うべき

 投資信託やETFなど、スタンダードとされる投資において守りたい原則は「余剰金で取り組むこと」です。その基準は生活費の6か月ともいわれます。それは予想を超えた損失が生まれても、生活自体は脅かされないためです。6カ月分を確保したうえで余剰金となった部分を、投資を行う元本として考えたいもの。

 既存の資産運用はこれでいいのですが、仮想通貨はその変動制から、(仮想通貨と比べて保守的な)既存の資産活用方法として投資するお金の、更に余剰資金として生まれた部分。まさに「二段構え」で原資と出来た部分をあてがうようにしましょう。銀行法など、ここ数年で法整備が進んだことからも、政府も仮想通貨の周辺環境をより良くしようという動きが見えます。だからこそ大きな特徴であり、ネガティブな評価をされやすい価格変動性の部分に対し、余剰金というリスクヘッジを張ることが、上手な付き合い方といえます。

【3】暗号通貨から暗号資産になって変わること

 政府による好意的な姿勢の証拠とされるポジティブなニュースは、日本における仮想通貨の名称変更です。金融庁は2019年以降、仮想通貨を暗号資産として名称変更を行い、法改正を行う準備に入った、と報道されました。もともと暗号通貨という表現が多かった世界でも、最近は暗号資産という呼び名が定着されており、金融庁はそれに対応した動きとされています。

 仮想通貨を使ったブロックチェーン技術が実働レベルの段階に入ったり、不動産領域との親和性も注目されたりしています。運用として注目している人にも影響がありそうな、これらのニュース。2019年においては仮想通貨から暗号資産へ変わる流れとともに見定めながら、投資方法になり得ていくのか、注視する姿勢が大切といえるでしょう。(工藤 崇・ファイナンシャルプランナー)

◆工藤 崇(くどう・たかし)FP-MYS代表取締役社長CEO。1982年北海道生まれ。相続×Fintechプラットフォーム「レタプラ」開発・運営。資格学校勤務後不動産会社、建築会社を経て2015年FP事務所を設立。1年後の2016年7月に法人化。多数の執筆のほか、Fintech関連のセミナー講師実績を有する現役の独立型ファイナンシャルプランナー(FP)として活動中。https://biz.lettepla.net/login

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